【独自解説】「困窮型」「便乗型」「ストレス型」シフトする“被災地犯罪” 能登半島地震でも悪質な手口が多発…減災復興の専門家が指摘する、デマが広がってしまう事情
また、「ボランティアで来た」と輪島市内の住宅に侵入し高級みかん6個(3000円相当)を盗んだ疑いで自称・大学生が逮捕されています。 Q.本当にボランティアで来た人に迷惑な話ですよね? (松川准教授) 「迷惑以外の何ものでもないです。どういった被災地でも災害対応の支援において行政や他の公的機関だけには頼れないので、民間の専門家の活動も必須ですし一般のボランティアの力添えも絶対必要になって来るんです。そういった民間の支援が信頼できないとなってしまうと、被災者にも、支援しようとしている行政にも損失でしかないので、本当に怒りしかありません」
そして、SNSで架空の住所を書き込んで、「今後の資金を寄付していただけると幸いです」とオンラインで送金できるリンクをはる義援金詐欺も発生しています。 Q.個人でこういうことをすることはないと考えたほうが良いですよね? (松川准教授) 「確認していないのでゼロとはいえませんが、今回の場合、高齢者が非常に多い地域なのでこういったことができる高齢者がいるとは思えないので、かなり可能性は少ないと思います。また、こういった寄付などは一般的には直接届けることはなく、行政や有名な財団などが仲介して渡すというのが一般的です」
さらに、穴水町では迷彩服を着用したニセ自衛官が出没しているということです。自衛隊の吉田圭秀統幕長は、「我々は組織で動いているので、一人で孤立地域の家屋を訪ねて行くということはありません」と注意喚起をしています。 Q.自衛官もそうですが、警察や消防の人間も被災地で単独行動はしませんよね? (松川准教授) 「全くあり得ません。被災地は、プロでも危ないところなので一人で行動するのはあり得ません」
過去にも被災地での犯罪はいろいろありました。1995年の阪神・淡路大震災では、がれきによる道路の閉塞により、小回りの利くオートバイの盗難が激増しました。さらに、2011年、東日本大震災ではガソリンやタイヤなどの万引きや窃盗のほか、福島県では侵入盗が著しく増加したということです。そして、2016年の熊本地震では、空き巣が増加しSNSに端を発したデマが 広がり、便乗値上げや悪徳業者も現れたといいます。 Q.熊本地震では、猛獣のライオンが逃げたというデマが広がりましたよね? (松川准教授) 「発端はSNSなんですが、SNSを見た人からの口コミで加速度的に広がりました。熊本地震のときに調査をしたのですが、被災者は手近な情報源に頼ります。行政から出る公式な情報は限られるので身近な人からの情報に頼ってしまって、デマがまことしやかに広がってしまいました」
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