都心に住む20代に車回帰の流れアリ 古着感覚で人気の“ヤングタイマー”とは?
車を手に入れて「旅行に行くのが億劫ではなくなった」と2人。箱根や裏磐梯などにも出掛けたが、よく行くのは「ちょっと遠くのスーパー銭湯」と、あくまでカッコつけずに自然体。「車を買う前もカーシェアサービスに登録していたけど、予約がいっぱいですぐに借りられないことがほとんどだった。もちろん、若い世代がみんな車を買うなら“ヤングタイマー”というわけではなく、新車を追い求める人もいる。でも、車もカセットも古着も、全体的にちょっと古いものが好きというムードは今あると思う」と男性。
「車は一番デカいアウター」
若者×車×東京といった切り口で、ビジネスを立ち上げるケースも出てきた。tokyo basic car club(以下、TBCC)の南部翔也CEO(30歳)はその1人だ。広告代理店のウェブディレクターを経て独立。21年にTBCCを立ち上げ、インスタグラム(@tokyo_basic_car_club)とユーチューブ(@tokyobasiccarclub)で“ヤングタイマー”やそれに乗る20代のライフスタイルを紹介している。投稿する画像や動画は、アウトドアムードの車なら公園の緑の中で撮影し、夜が映える車なら夜景をバックに撮るといった具合に、ファッションブランドのルック撮影よろしく世界観を追求。中古車検索サイトの味気ない画像とは一味も二味も違う見せ方で、感度の高いフォロワーを獲得してきた。
メディアを運営する中で、「“ヤングタイマー”に乗りたい」「“ヤングタイマー”を価値が分かる人に譲りたい」といった声が集まるようになったことで、満を持して“ヤングタイマー”の個人間売買のマッチング事業に参入。「僕らが狙っているのは、クラシックカーと普通の中古車の間のゾーン。何百万円もするビンテージデニムは買えないけど、80年代のオールドステューシーなら買える、といったイメージ」だ。確かに、1970年代以前の“オールドタイマー”な車はクラシックカーとしてビンテージ的価値が高まるものもあるが、一方で維持は難しい。“ヤングタイマー”なら個性も楽しめる上に、維持も比較的しやすい。TBCCで“ヤングタイマー”の購入をサポートした客は美容師やカメラマン、スタイリスト、メディア関係者が多いというが、もちろん一般会社員もいる。20代が中心で、最年少は19歳。「予算は200万円あればいろんな車種が選べるし、それなら社会人2~3年目でも頑張れば手を出せる」と南部CEO。