なぜ人は外反母趾になる? 実は「物をつかまなくなった親指」が関係 進化が生んだ病だった
外反母趾の事実とウソ
最新の機器や施術の利点を宣伝するソーシャルメディアアカウントや自称フットフルエンサー(足のインフルエンサー)が助長するDIY精神に、こうした状況がますます磨きをかける。だがミラー氏によれば、多くの患者がお金を費やす「バニオンスプリント(外反母趾矯正具)」は、症状のみを治療するものであり、原因に対処するものではない。 ミラー氏はバニオンスプリントについて、「効果がない」と断言する。「足から外したら、すぐ元に戻ってしまします」。ミラー氏は手っ取り早いが効果のない治療法に浪費するのではなく、バニオンが痛くなったらすぐに受診することを勧めている。早期の介入が患者に最良の結果をもたらすためだ。「患者はいつも、もっと早く来なかったことを後悔します」 外反母趾を和らげる方法を探している人はあなただけではない。あなたは世界で年間7億3000万ドル(約1130億円)規模の市場に参加し、物をつかまない親指に先史時代から付きまとってきた苦悩を分かち合っているのだ。外反母趾は高齢者や病弱な人だけがなるものだという、患者を治療から遠ざけ、自分も外反母趾だと認めることさえできなくするような固定観念は、もう終わりにしよう。 「私は10歳から98歳までの患者を治療しています」とミラー氏も述べている。もし痛みがあるのなら、恥ずかしがらずに医療機関を受診してほしい。あなたには良い仲間がいる。
文=Erin Blakemore/訳=米井香織