「生まれ育った街だから住まいに困る人を減らしたい」。外国籍、高齢者などに寄り添い住まいと福祉を結ぶ居住支援法人・上原不動産
誰もやらないなら、まずは自分たちで。居住支援法人に登録
上原不動産の代表である橋本さんの父は、3~4年前から不動産業界のこれからを見据え、住宅弱者に対する支援団体の連携の場である「下関市居住支援協議会」の立ち上げを行政や宅建協会などに提案してきました。しかし人手が足りないことなどを理由に、なかなか実働に向かいません。 「誰もやらないなら、まずは自社でやらなくては、と考えて2021年9月に山口県の居住支援法人に登録し、福祉についても勉強し始めました。居住支援法人の登録には専用窓口、専用スタッフ、専用ダイヤルを設置・明示する必要があり、大変でした。しかしその仕組みをつくったことで、お問い合せを受けやすくなり、行政や福祉法人との連携体制ができつつあります」
居住支援法人となって大きく変わったのは「断らなくても良い方法を見つけよう」という意識でした。そして受け入れ可能な物件を増やすためにはオーナーや管理会社の理解が必要です。オーナーの意向を知るために上原不動産が独自で行ったアンケートでは、約9割が要配慮者の受け入れOKとの回答だったそう。 「ただし『受け入れ可』は、当社が責任を持って対応することが大前提となっていました。そこで私たちも今まで以上に入居後の生活サポートに目が向くようになり、いろいろなサービスの導入を進めてきたのです」 65歳以上の人にはAIによる見守りと死亡補償を組み合わせたサービスへの加入を必須にしたり、携帯電話も固定電話も持っておらず家賃保証会社を利用できない人のために格安スマホの代理店となったり。それぞれの事情に応じて幅広く対応できるよう、家賃保証会社5社以上と提携しながら、緊急連絡先を確保し、連帯保証人がいない人であっても自社所有物件に入居できるようにするなど、二重三重のサポート体制を整えているそうです。 上原不動産で65歳以上の人の入居時に加入を必須としている、電気の使用量をAIが判断し、いつもと違う動きがあってもすぐに察知、連絡できるシステム。利用者の手を煩わせることなく、プライバシーも守りながら見守りができる。