「ガス欠になっても燃料入れればいいだけでしょ?」は甘すぎる考え! じつはクルマも傷むし高速では違反だった
ガス欠ってどんな症状?
クルマというのは、内燃機関車であれば、どんな高性能車でも燃料がなければ動かない。だから燃料計がついているし、ご丁寧に、残量が少ないことを知らせてくれるエンプティランプまでついている(一部のクルマを除く)。 【画像】万が一のガス欠の際には頼もしい存在のJAFロードサービス それだけに、「ガス欠で動けなくなるなんてレアケースなのでは?」と思うかもしれないが、世のなかわりとおっちょこちょいな人は多いようで、JAFのGWの救援要請理由(2022年)をみてみると、一般道の7位、高速道路の2位がなんと燃料切れ! 高速道路では、SAのガソリンスタンドが夜間休業しているところがあったり、80~100km以上ガソリンスタンドがない区間(なかには150km以上という区間も!)もあって、油断しているとじつは大変なことに……(高速道路でのガス欠は、「自動車の運転者の遵守事項」違反で、 反則金9000円=普通車、違反点数は2点)。 ガス欠は燃料計の表示やエンプティランプを見逃さなければ避けられるトラブル。そのほかの予兆として、アクセルを踏んでも吹けなくなるといった症状もあるが、そうなったときはもう手遅れ。そうなった場合は速やかにギヤをニュートラルにして、惰性でクルマを安全な場所に移動させて停車させること。 ちなみに、ガス欠になったとき車体を振ると燃料タンクの隅の燃料を吸って、息を吹き返すことがあるが、その程度では数kmも走り続けることはできない。ただ、坂道から平地に移動すれば、タンクの底の燃料を吸い上げ、もう少しだけ走れる可能性はある。
ガス欠になった場合はどうする?
ではもし、ガス欠になってしまった場合はどうすればいいか。 第一に、クルマをなんとかして安全な場所に移動させる。次にJAF、もしくは保険会社のロードサービスに連絡をして救援を呼ぶ(JAF会員なら給油する燃料の実費のみ。保険のロードサービスは、10リットルまで無料だったりするが契約によって条件が異なる)。 あるいは、近場の知人・家族に連絡し、手動の灯油ポンプ(もしくはホース)などを持って、クルマで迎えに来てもらい、そのクルマの燃料タンクからガス欠車の燃料タンクに燃料を少しわけてもらって、動けるようにしてもらう(燃料の種類、吹きこぼしなどに注意)。 そのほか、近所にガソリンスタンドがあれば電話して、携行缶などで燃料を届けてもらえないか相談する(もちろん有料)といった対処法が考えられる。 このとき、どうしてもほかのクルマの通行を妨げるような場所で止まってしまったときは、道路緊急ダイヤル(#9910)にも電話して、発炎筒を焚いたり、三角表示板を提示することも忘れずに。 ガソリン車の場合、ガス欠を起こしても、給油さえすればすぐに動き出すことが可能だが、クルマに若干のダメージは残る。 たとえば、ガソリンポンプは空まわりすることで寿命が縮む恐れがあり、ガス欠になったことで、スターターを長めにまわし、スターターモーターやバッテリーにもストレスがかかる。 直噴エンジンだと、インジェクターのノズルもガス欠で潤滑性が失われ傷んでしまう可能性が……。 ディーゼル車だともっと厄介で、燃料パイプラインのなかに空気が入ってしまうとエア抜きが必要! EVでも電欠を起こすと、バッテリーの早期劣化につながってしまうので要注意。 最後にハイブリッド車のガス欠について。ハイブリッド車もガス欠になったら、原則として走行できないと考えたほうがいい。 もちろん、駆動用バッテリーに残量があれば、モーター駆動のみで移動することが可能だが、それもせいぜい路肩に待避する程度の距離だと想定しておくべき。なお、一部のハイブリッド車には、ガス欠になるとガソリン車同様にまったく走行できない車種もあるので要注意。 どんなクルマでも、どこへ出かけるにしても、燃料計が残り4分の1以下になったら給油のタイミング。燃料残量警告灯が点灯したら速やかに給油する。 このふたつを徹底することで、つまらないガス欠トラブルを皆無にしよう。
藤田竜太