イスラエル、イランとの対立で新局面-代理勢力だけでなく直接対峙も
イランがイスラエルに報復を宣言、シリアでの大使館攻撃受け
今後の進め方に関する意見の相違の一端は、13日夜の攻撃をイラン大使館攻撃への報復と見るか、イランの対イスラエル政策の一環と見るかによって違いが生じている。
多くのイスラエル国民にとって、イランは地域の敵対勢力を操る人形使いであり、その最たる操り人形が、昨年10月にイスラエルを奇襲攻撃したハマスだ。
100人以上の人質がいまだに解放されておらず、数千人のハマス戦闘員がガザ南部の都市ラファに集結している。
イスラエルの元情報将校で、イランについて多くの著作があるアビ・メラメド氏は、イランの攻撃後、ラファ攻撃とハマス解体を主張するイスラエルに米国が同調することを期待しているという。
スモトリッチ財務相もX(旧ツイッター)への投稿で「教訓を学び、方向転換し、今すぐラファに進み、ガザ全域でイスラエルの完全な支配を回復する時だ」と述べ、同様の見解を示している。
米国は、ラファに避難している多くの市民とガザの人道危機拡大を理由に、このような作戦には警告を発してきた。
ハマスがイスラエルからの停戦と人質交換の申し出を拒否したのは、親イラン勢力がおびえるよりもむしろ結束していることを示す証左との見方もある。
しかし、イスラエル軍情報部門のディレクターを務めた経歴があり、イスラエル戦時内閣メンバーのガンツ前国防相に助言するアモス・ヤドリン氏の見方は違う。
「昨夜の攻撃は、戦争の戦略的変化、さらには終結につながる可能性がある」と指摘。「ハマスが十分に打ちのめされた今、イスラエルは恒久的な停戦とガザからの撤退と引き換えに、人質全員の返還という取引に合意し、国際的な正当性を取り戻すことができる」とみている。
イスラエルにとってもうひとつのジレンマは、親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラと戦っているレバノンとの北部国境だ。イスラエルはこの紛争の背後にもイランがいると見ており、外交あるいは武力行使により、自国民を同地域に帰すことができなければならないとしている。