海上保安庁、採用試験の身長・体重基準を撤廃へ…「必ずしも一定の体格が必要ではなくなった」
海上保安庁は、来年度に実施する採用試験から、身長と体重の基準を撤廃する。少子化と採用数増で受験倍率が低下する一方、沖縄県・尖閣諸島の領海警備や外国機関との連携など、業務は拡大・多様化している。採用の間口を広げ、優秀な人材を確保する狙いがある。
今年度までは男子が1メートル57と48キロ以上、女子は1メートル50と41キロ以上という基準があった。高卒程度を対象とする海上保安大学校(広島)と海上保安学校(京都)の試験をはじめ、大卒者や無線・船舶など各種資格者の採用でも大半で身長と体重の制限をなくす。体格制限の緩和・廃止は、1948年の海保創設後、初めて。
瀬口良夫長官は20日の定例記者会見で、「近年、資機材の軽量化、遠隔化が進んだことで、必ずしも一定の体格が必要ではなくなってきた」と語った。海上保安官として必須となる体力を確認するため、反復横跳びや鉄棒ぶら下がりなどの検査は引き続き実施する。
また、海洋データの収集・分析担当者を育成する海上保安学校の海洋科学課程では、来年度の採用試験科目から物理を削除し、数学と英語の2科目のみとする。
海上保安庁への受験申込者は減少傾向が続き、海上保安学校の船舶運航システム課程は2013年度に3416人(最終合格倍率8・8倍)だったが、23年度は2586人(同4・6倍)。幹部職員を養成する海上保安大学校の本科も13年度727人(同10・5倍)から23年度364人(同3・6倍)に減った。
海保は休憩中にスマホをWi―Fi(ワイファイ)に接続できる船を増やすなど、職場の環境改善を進めている。