88歳の父が他界。母も高齢なので私が相続手続きをするのですが、父親から預貯金・土地などの詳しい情報を聞いていません。どのように進めたらいいですか?
相続不動産の登記が義務に
自宅の土地などは容易に確認できますが、それ以外に不動産がどのくらいあるのかも把握しなければなりません。とくに親が亡くなる前に、所有する不動産について確認をしておけば問題はないのですが、それがないときは調べなければなりません。そのためには、まず故人宛てに役所から送られていた固定資産税の「納税通知書」を見つけることです。 さらに市区町村が不動産の所有状況をまとめた「名寄せ帳」を閲覧することで、故人の不動産の所有状況を知ることができます。 今後は、このような不動産の所有状況を一括照会できる「所有不動産記録証明制度」も準備されています。2026年2月からスタートする予定ですが、これにより従来の手間が省け、法務省が登記簿の名義人ごとに所有不動産の情報を、一覧できるようになります。 このシステムが稼働すれば、故人の所有する不動産の実態が容易に把握でき、手続きの効率化が進みます。相続人同士の話し合いも早期に開始できます。 不動産の相続に関しては、3年以内の「登記の義務化」が決まっています。これは所有者不明の土地や住宅が急増したことに対する国の対策の一環で、相続した不動産を登記はせずに、そのまま放置することはできなくなりました。居住しない住まいや利用しない田畑であっても、登記が必要で固定資産税も発生します。 正当な理由がなく、3年以内に登記をしないと過料が課せられます。利用価値のない土地は相続放棄をして、現預金・有価証券だけを相続できません。3年以内の登記はしっかり覚えておきたいものです。 これまでの相続手続きは、戸籍謄本の取得をはじめ、非常に手間のかかる作業でした。最近では、データ化・デジタル化が進み、効率よく必要書類が取得できるようになりつつあります。相続手続きを必要とされている方には朗報です。 執筆者:黒木達也 経済ジャーナリスト 監修:中嶋正廣 行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。
ファイナンシャルフィールド編集部