効率的に癒やされたい時代に? スピリチュアル市場は1兆円
スピリチュアルビジネスの可能性
―――まっとうなビジネスとしての可能性はあるのでしょうか? 日用品メーカーの白元が風水のDr.コパさんと商品開発した芳香剤が例として上げられます。自治体がパワースポットツアーを地域資源として売り込むことも目立つようになってきました。縁結びの神としての出雲大社などです。罪のない範囲であれば問題にはなりません。 ―――スピリチュアル市場の今後は? 現在は、影響力のあるスピリチュアル番組がないので市場は落ち着いています。消費にすぐに結びつくとは思えませんが、昔と違って精神世界や内面に関する話がおおっぴらにできるようになりました。素地は変わってきています。ただ、周りの力でなんとかしたい、目に見えないパワーをお借りしたいという他力本願な開運市場が主導していくには間違いありません。 有元さんは、忙しい現代においては「効率的に癒やされたい」という需要が発生すると指摘します。短期間で「人生の正解」を手にしたいという市場です。「自分の人生を他人に効率的に決めてもらっていいのか?」という気がしないでもありませんが、社会が生きづらくなればなるほど「スピリチュアル市場」という言葉は、社会的に認知されていくのかもしれません。 ■有元裕美子(ありもとゆみこ) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング政策研究事業本部研究開発第1部副主任研究員。健康・美容関連分野の調査・コンサルティングに従事。執筆・講演、委員・アドバイザー等多数。著書『スピリチュアル市場の研究』(東洋経済新報社)『肥満解消マーケティング』(共著、日本経済新聞出版社)等のほか、日本経済新聞(ゼミナール欄「動き出すメタボ市場」)、週刊エコノミスト(「肥満解消ビジネス2.5兆円の全貌」、「特集アンチエイジング株が熱い!『若さ求める7200万人がターゲット』」)等に執筆・寄稿。