ユニクロの「ヤバすぎる」幹部向け小冊子の中身、柳井氏の「根っこ」がわかる
ユニクロがここまで圧倒的なブランド力を築けた理由は、単なるカリスマ経営者の存在だけではない。「社長がいなくても回る仕組み」を全社に浸透させることだという。現場のスタッフまでもが経営者の視点を持ち、自分の店舗や売り場を自らの裁量で動かす。とはいえ、その実現は決して簡単なのものではない。元ファーストリテイリング執行役員の宇佐美潤祐氏によれば、それを実現するための幹部向けの小冊子があるという。同冊子はなぜ作られたのか、そしてどのようなことが記載されているのか。『ユニクロの仕組み化』を上梓した宇佐美氏が解説する。
※本記事は『ユニクロの仕組み化』を再構成したものです。
ユニクロは「柳井さんがいなくても回る」
今や国内では敵なしのブランドになったユニクロは、メディアなどではカリスマ経営者の柳井正さんにスポットが当たりがちです。 ただ、実際はむしろ「柳井さんがいなくても回る仕組み」があることこそが、本当の強みになっています。 「柳井さんがいなくても回る仕組み」とは、経営陣や管理職だけでなく世界中の店舗のひとりひとりのスタッフにも「変革」を求める仕組みです。ひとりひとりに「経営者」になることを求めています。 たとえば、銀座店のメンズのインナー担当者には銀座のメンズのインナー売り場で、吉祥寺店のウィメンズのアウターの担当者でしたら吉祥寺店のウィメンズのアウターの売り場で、「経営者」としての力を発揮してもらう仕組みをつくっています。日々の自分の仕事の中で、自分の頭で考え、目の前の課題を解決できるようになるための仕組みです。 そのための、雇用体系を変えたり教育制度を整えたりといった試みもあるのですが、その制度をうまく機能させるには当然意識づけも重要になります。むしろ、意識づけこそ最も重要といってもいいでしょう。 環境を整えた上で、働く人ひとりひとりに魂を込める必要性があるのです。その最も難しい意識づけも「仕組み化」しています。それが、今やユニクロのバイブルとなっている「経営者になるためのノート」です。