知事への「不信任」可決の事例は? 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
東京都の舛添要一知事が21日付で辞職することが決まりました。一連の政治資金をめぐる問題で厳しい批判を浴び、直前に迫った参議院選挙の悪影響を恐れて、最後は野党はもとより味方のはずの自民・公明からも不信任決議案が出され、追い詰められての辞任でした。これを受け、各党から提出されていた不信任案は取り下げられましたが、過去に知事の不信任が可決された例はあるのでしょうか。 【図解】橋下氏が出直し市長選 首長と議会が対等な「二元代表制」とは?
不信任可決なら「失職」か「解散」
都道府県知事と市区町村長(区は東京23区。以下同)を一般に首長といいます。地方自治体には都道府県議会と市区町村議会を構成する議員もいます。首長と議員は別の選挙で住民が直接選びます。そこが議会(国会)が議員のなかから指名する首相との大きな違いです。首長と議会による「二元代表制」とも呼ばれます。 首相のような解散権を自治体首長は持ちません。ただし不信任決議案が全議員の3分の2以上出席し、うち4分の3以上が賛成して可決・成立すれば別です。首長は10日以内に議会を解散できます。そうでなければ失職です。 つまり舛添知事は自らの意思でやめる辞職以外にも議会解散や失職という選択肢もあったのです。失職と辞職はよく似ていますが、後者の方が「自分でけじめをつけた」感があるのと、不信任決議がなされた後だと与党であった自公、とりわけ自民党とのパイプが完全に切れてしまい、20日に予定されていた(中止)集中審議や、偽証罪が適用される百条委員会(後述)の設置まで一挙に突き進みかねません。 議会の解散を選択しても展望ゼロでした。何しろ不信任決議は都議会ほぼすべての議員が賛成するのが確実であったので、選挙結果にかかわらず選出された新議員は即座に再び不信任決議を持ち出すでしょう。そうなったら今度は過半数の賛成で失職ですから。 なお辞職・失職しても次の都知事選に舛添氏は出馬できます(しないでしょうけど)。国会議員の場合は選挙区選出で辞職したら穴埋めのための補欠選挙に出られません。ここも国政との大きな違いです。また失職後の出直し知事選で前知事が勝てば新たに任期4年が与えられるのに対して、辞職では前知事が当選しても残り任期しか務められません。