知事への「不信任」可決の事例は? 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
猪瀬前知事は「百条委員会」設置で窮地に
「政治とカネ」の問題では猪瀬前都知事も辞職に追い込まれました。この際に決め手となったのが百条委員会(地方自治法100条に依る)の設置です。自治体の仕事に重大な疑念が発生した時に置かれる特別委員会で首長や議員も対象になります。強制力のある調査で正当な理由がない出頭や証言の拒否および偽証は禁固刑以下の罰に問われる可能性があります。地方自治法違反容疑となれば議会は刑事告発しなければなりません。設置には議会の過半数の議決で可能で4分の3という不信任決議可決よりもハードルは低いのです。 舛添知事と同様に総務委員会集中審議での1問1答で四苦八苦していた猪瀬氏も百条委員会の設置で退路を完全に絶たれ、翌日辞職を表明しました。
-------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】