「そのまま死ねばよかったのに」…飲酒運転で全てを失った男性が、誹謗中傷を受けても「発信を続ける理由」
発信が実を結んだエピソード
誹謗中傷だけでなく、宮城さんのもとには「こんなこと(啓蒙活動)やっても無駄だろ」という声も届くという。しかし、彼は自身の活動が伝わった感触を得たエピソードをこう話す。 「僕の友人が、別の友人に電話で『少ししか飲んでないなら、運転して遊びにおいで』と言われたそうなのですが、『それは絶対ダメ!俺の友達に宮城恵輔という奴がいて、そいつがいるから飲酒運転は絶対できない!』とハッキリ断ってくれたそうなんです。僕の存在、この活動が一つの飲酒運転をなくすことができたのではないかと思った瞬間でした」 また、これから免許取得をする高校生の前で講話をすると、感想文に「怖かった」というシンプルな言葉が見られるのだという。教師や警察官が訴えることも必要ではあるが、事故の当事者である宮城さんが、彼の姿をもって発する説得力もあるようだ。
ペンを口にくわえて絵を描き始めたワケ
宮城さんは、飲酒運転根絶のための活動を続けながら、数年前から絵を描くようになった。両手が使えないため、ペンを口にくわえタブレットで作品を作る。そこには次のような思いが込められていた。 「単純に自分が描きたいと思ったものを題材にしていますが、作品を見た人が『飲酒運転で手足が使えなくなった人が描いた』と知って、少しでも飲酒運転の根絶につながれば嬉しいです。また、中途で障害者になった人は、その時に絶望に落とされます。でも、全ての未来がなくなった訳ではなく、こうしてできる事もあると、絵を見て希望を持ってくれればと思っています」 誰もがわかっていることだが、飲酒運転は絶対にしてはならない。だが、それでも不幸な事故がなくなることはない。 飲酒運転で人生が変わった宮城さんの声が、より多くの人々に届くことを願うばかりだ。
Mr.tsubaking