番付表を手に自身のしこ名を指さす大の里（撮影・藤田昌央）

　日本相撲協会は２８日、大相撲九州場所（１１月１０日初日、福岡国際センター）の番付を発表した。秋場所で２度目の優勝を飾って大関に昇進した大の里（２４）＝二所ノ関＝は、福岡市の部屋宿舎で会見。１９０９年の優勝制度制定以降で双葉山以来８７年ぶり２人目となる関脇と新大関での２場所連続優勝がかかる一年納めの場所へ「いい形で締めくくれれば」と抱負を語った。秋場所で十両優勝した尊富士（伊勢ケ浜）は３場所ぶりに幕内復帰。左膝のケガで秋場所を全休した元大関の朝乃山（高砂）は十両から幕下に転落した。 　手にした番付から、背負う看板の重みが伝わってきた。しこ名の上にある２文字の大きさ。「番付に名前が載ることで、本当に大関になったんだと実感も湧いた。より一層、引き締めないとダメだなという気持ちになった」。大の里は表情を緩めることなく、増した責任を受け止めた。 　スピード昇進で数々の記録を塗り替えてきた。今場所では０６年夏場所の白鵬以来１８年ぶり９人目の新大関Ｖ、１９３７年春場所の双葉山以来８７年ぶり２人目となる関脇から新大関の連続Ｖという快挙がかかる。優勝争いを求められる地位となったが「深く考え過ぎず、一日一番集中する今まで通りの気持ちを持って」と意識は変えず。「一年最後の場所になる。いい形で締めくくれれば」と静かに意気込んだ。 　アデノウイルス感染症のため、秋巡業を１７日から離脱。１０日ほど部屋で回復に努めた。調整は「少し不足している部分もある」と認めつつ、すでに体を動かしているといい「回復はしている」と不安の色はなかった。 　昨年の九州場所はまだ十両だった。あっという間に看板力士となり「１年前の自分と比べると、想像していないところにいる。自分自身、まだ追いついていないというのが一番」と率直な思いを吐露した大の里。「まだ大関としてわからない部分、初めての部分がたくさんある。初日を迎えれば、たぶん得るものも知るものもたくさんあると思う」と日々の経験を血肉に変え、期待に応える結果を残す。