年金受給者に「住民税非課税世帯」が多い理由は?医療費や介護費用で大きな優遇
平均的な年金額はいくら?
住民税非課税世帯になる年金収入の基準が高いのか低いのかは、年金受給者の平均年金額がわかれば判断できます。 厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金受給者と厚生年金受給者の平均受給額をみてみましょう。 ●国民年金受給権者の平均年金月額 ・男性:5万8798円 ・女性:5万4426円 ・全体:5万6316円 ●厚生年金受給権者の平均年金月額 ・男性:16万3875円 ・女性:10万4878円 ・全体:14万3973円 収入が国民年金だけの人は、級地や年齢に関係なく、また、満額をもらったとしても81万6000円(2024年度)なので、住民税非課税世帯に該当します。 65歳以上の厚生年金受給者の場合は、平均受給額から判断すると、男性の単身者は該当しませんが、女性の単身者は該当する可能性が高いでしょう。 夫婦世帯も考えてみましょう。 たとえば、会社員の夫と専業主婦の妻だった夫婦世帯を想定してみます。 夫196万6500円(厚生年金の男性平均)に妻65万3112円(国民年金の女性平均)を足すと261万9612円となり、住民税非課税世帯の年収目安を超えるので、住民税非課税世帯には該当しません。 このように考えると、女性の場合は国民年金でも厚生年金でも、単身の場合は住民税非課税世帯に該当する可能性が高く、男性の場合は単身でも夫婦でも、厚生年金を受給していると住民税非課税世帯に該当しない可能性が高いといえます。
年金受給者に「住民税非課税世帯」が多い理由
あくまでも平均額をもとにした仮説なので、当てはまらないケースもありますが、女性の単身者は住民税非課税世帯に該当する可能性が高いということは傾向としていえるのではないでしょうか。 また、女性は男性よりも平均的に長生きするため、夫婦の場合もいずれ女性は単身となります。 厚生年金を受給していた夫が亡くなれば、妻は遺族厚生年金が受け取れるので、平均的な受給額であれば、残された妻が住民税非課税世帯になることはありません。 裏を返せば、平均よりも少ない受給額だったり、夫が自営業者だったりすると、住民税非課税世帯に該当する可能性が高くなります。 年金の平均受給額からみてわかるとおり、現役時代に比べて収入は大きく減ります。 特に女性は、年金額が少ない傾向があるため、住民税非課税世帯に該当するケースが多いでしょう。 年金受給者に住民税非課税世帯が多くなるのは、年金の給付水準からある意味当然のことといえるでしょう。