「泣ける」と話題に なぜタイのCMには感動する作品が多いのか?
先月、無料通話アプリ「LINE」のタイバージョンのCMが動画共有サイトに投稿され、「感動的だ」、「泣ける」と話題を呼んでいます。母親を亡くして悲しみくれる娘を、父親が気遣う様子を表現したわずか90秒の動画ですが、そのクオリティは高く、すぐにストーリーに引き込まれてしまいます。
■さまざまな「泣ける」作品 このCMに限らず、これまでにもタイのCMで「感動的だ」と話題になった作品は少なくありません。万引きした少年を救った男性が30年後、病に倒れると、今度は“かつての少年”が医者としてその男性を救う話や、聾唖(ろうあ)の父親を嫌う娘に対し、精一杯の愛情を注いで娘を守ろうとする父親の話など。 実はタイのテレビCMのクオリティは、世界レベルで見渡しても高く、世界の広告賞の受賞回数は日本を上回っています。またバンコク市内には多くの編集・録音、CGスタジオが集まるスタジオ村のような場所もあり、日本と比較すると低予算で早くコマーシャル制作が可能な環境も整っています。もちろん日本も高い映像技術を持っていますが、コマーシャル制作にあたってはタレントに頼りすぎていたり、日本人にしか理解できないストーリーでコマーシャルを制作しがちで、世界で認められるには、なかなか難しいようです。 ■昭和の日本を感じさせてくれる タイ在住で広告会社に勤務する岡本圭司さんに話を聞くと「タイで制作されるCMのクオリティは、玉石混合というより、実はくだらないもののほうが多いかもしれません」とのことでした。しかし「ごく一部、ドラマ仕立ての作品は自由な発想で、制作予算を使うことを許されているため、決められた秒数に情報を詰め込むことなく描くことができるようです。そこに描かていれる一般市民の生活は、昭和の日本を感じさせられるようなノスタルジーを感じさせるのでしょう」と説明。すべての作品がハイレベルというわけではないようですが、それでも秀逸な作品を生み出すは環境が整っているといいます。