【2024“荒れた都知事選”】捜査幹部が抱いた危機感「目に余る異常な状況だった」
今回の都知事選は過去最多の56人が立候補するなど異例ずくめの選挙戦となりました。私たちは選挙違反などを担当する警視庁の捜査幹部たち、そして選挙事務などを行う選挙管理委員会の担当者たちに話を聞きましたが「目に余る異常な状況だった」との声も。 【画像】ポスターに「わが子の写真」"掲示板ジャック"した男性の後悔…【2024"荒れた都知事選"】 “荒れた都知事選”に向き合った担当者たちの本音とは。(報道局 調査報道班)
■都知事選 警視庁は「厳戒態勢」
東京都知事選の告示を控えた先月7日。警視庁トップの緒方禎己総監は勢ぞろいした捜査幹部ら約280人に対しこう呼びかけました。 「厳正公正な取り締まりを徹底してほしい」 念頭にあったのは「つばさの党」を巡る公職選挙法違反事件。悪質な自由妨害などには、捜査を強力に推し進めるよう発破を掛けたのです。 警視庁は都知事選に際しおよそ2000人態勢の選挙違反取締本部を設置。演説会場などにおける要人警備などについても厳戒態勢で臨みました。 結果、つばさの党の事件のような、候補者による目立った演説妨害などは確認されていません。その一方で警視庁が想定していなかった事態もおきました。
■「想定外」だった「ポスター問題」 捜査幹部たちに危機感
それは一部の候補者による選挙ポスターの問題。候補者の一人河合ゆうすけ氏は、掲示板にほぼ裸の状態の女性の写真を載せたポスターを貼りました。警視庁は東京都の迷惑防止条例違反にあたるとして警告。河合氏はポスターを撤去しました。 この件について警視庁の捜査幹部の1人は「あらゆることに対応できるよう準備していたが、これは想定外だった」とした上で、こう話しています。 捜査幹部A 「これまでの都知事選においても、ふさわしくない表現はあったが明らかな違反行為が行われたことが今までと違う。これまではグレーゾーンはあっても違反は記憶する限りなかった」 また「NHKから国民を守る党」は複数の候補者を擁立して、その枠にポスターを貼る権利の販売を行い、渋谷区の掲示板には女性専用風俗店の店名などが記載されたポスターが貼られました。警視庁が風営法違反の可能性があるとして警告を行った結果、ポスターは別のものに差し替えられましたが、警視庁の幹部たちは危機感を抱いたと話しています。 捜査幹部B 「警視庁は(選挙活動を)規制したいと思っているわけではない。しかし規制しないといけない目に余る異常な状況が今回はあった。常識が働かない状況になっている」 捜査幹部C 「(これまでは)選挙運動する側の理性や良識に頼っていた部分があったが、今回は混乱しかねない状況が多々あったのが特徴だと思っている。選挙における公平・公正さを維持・確保するためにあらゆる法令を駆使した」