【MLB】苦戦が続くブルージェイズ トレード市場の動向に注目 菊池にも移籍の可能性
オールスター・ウィークを来週に控えるMLB2024シーズンだが、それは同時に今月末に設定されているトレード・デッドラインも近づいていることを示している。夏場を迎え勝機の少なくなったチームからプレーオフを狙うチームへの主力選手放出が相次ぐこの時期だが、今季はどうやらブルージェイズの動向に注目が集まりそうだ。多くの有力選手を抱え、過去4年で3度のプレーオフ進出を果たしながら現時点で50敗、借金8と苦しむチームは他球団にとって注目の的になるだろうとMLB公式サイトのマーク・フェインサンド記者が複数の情報筋からのコメントとともに分析している。 ブルージェイズは日本時間11日の試合終了時点でワイルドカードゲーム進出のボーダーラインに位置するレッドソックスに8.5ゲームの差をつけられており、得失点差はマイナス57と低調な戦いが続いている。この現状についてロス・アトキンスGMは「まだ少し時間はあるが、それが少なくなっていることも認識している。今は目の前の1日、1イニングを過ごしており、どちらの方向にもすぐに対応できるよう準備している」とコメント。現時点でトレード市場での見通しを語ることは避けたものの、売り手に回る準備があることも示唆している。 ブルージェイズが売り手に回る場合、まず候補に挙がるのが菊池雄星をはじめとした今季で契約が切れる選手たちだ。なかでも菊池に加えリリーフ右腕のイミ・ガルシアとトレバー・リチャーズは良い見返りが期待できそうだと考えられており、トレードに出される可能性は高そうだ。ブルージェイズはMLBパイプラインによるファームシステムランキングがシーズン前の時点で24位と若手有望株の層が薄く、将来への投資は必須の状況だ。 一方で来年以降も契約が残っている選手に関しては、驚くほどのオファーがない限り市場に出すことはないものとみられている。主砲のブラディミール・ゲレーロJr.や今季不調に苦しんでいる内野手のボー・ビシェットといった近年のブルージェイズを支えた中心選手も来シーズン終了後にFAとなるが、チームは両選手との契約延長に動いているとの情報もフェインサンド記者は伝えており、来シーズン以降も安定して勝負ができるチームを作り上げたい意向がうかがえる。 しかしながら、ブルージェイズを取り巻く環境はそう簡単ではない。多くの若手が活躍し、現在地区首位に立っているオリオールズは来年以降も主力が多く残り、例年安定した戦いぶりを続けているヤンキースとレイズに加え、レッドソックスも昨年から一転して今季は好成績をマークしている。同地区に強力かつ未来への見通しが立っているライバルが複数いる状況で、両選手がチームに残留したとしても数年は苦しい戦いが続く可能性が高いという見方もあり、今後さらに負けが重なるようであれば主力選手の放出に動く可能性もゼロではない。 どちらに舵を切っても難しい選択となる現状のブルージェイズ。アトキンスGMの手腕が注目されるところではあるが、まずはトレード期限までの試合で選手たちがどのような戦いぶりを見せるかがその後を大きく左右することとなりそうだ。日本時間11日の試合でビシェットと外野手のドールトン・バーショが負傷交代となってしまいさらなる苦境に追い込まれているが、奮起に期待したい。