【安達祐実さんインタビュー】映画『三日月とネコ』が大人に刺さる!「この3人の、傷を舐め合うような関係も何かいいな」
実は緊張感たっぷりだった、あのシーン!
日々の小さなことに悩む灯さんは、とても等身大の役だと思います。先ほどおっしゃったようなエキセントリックな役ではなく、こういうごく普通の役には、いつもとは違う入られ方を? 「私はオン/オフがあまりないタイプなので、どの役も割と“普通にやってる”感じなんです。それは今回もあまり変わらずだったかな。でも、いざ撮影に入ってみたら、意外にも、舞台みたいな感覚があったんです。特に、灯が鹿乃子さんと仁君と3人で食卓を囲むシーンは、ワンシーンを途中で切ることなく、ずっとカメラを回し続けて撮る、みたいな感じで。食事をしながら会話するシーンなので、3人ともお箸を持つ手がぷるぷる震えて(笑)。毎回誰かがNGを出して、“次こそは決めたい”と緊張感が走る、さながら戦場みたいな現場でしたね。そのダイニング以外のシーンは、本当にほのぼの~と撮っていましたが」 ダイニングのシーンは要所要所で肝となりますが、そんな緊張感やピリピリムードが全く映ってないところがすごいですね。しかも印象としては、さほど長回しで撮っているイメージがなくて。 「確かに色んな繋ぎ方をしているので、観るとあまり長回しのカットだという映り方はしていないんです。多分、その時の空気感を切らせないために長回しで撮ったのだと思いますが、みんな想定していなかったので、“あ、そういう感じで撮るんだ!?”みたいな戸惑いが最初はありました。実際にあのマンションの一室で撮ったのですが、ダイニングに丸テーブルがあり、そこにスポットが当たっていて、なんだか本当に舞台みたいな感じだったんですよ。だから緊張感もあって、しかもダイニングのシーンをいくつかまとめて撮る日があったので、その日は3人ともヘトヘトになりました(笑)」 ということは設定上、衣装も着替え、食事も別メニューを用意して、ということですよね? さらにネコという不確定要素も入って来ます。 「そうなんですよ(笑)! 食べながら会話するシーンなので、お皿の内容の繋がりを考え、万が一NGを出したら(食べた分を)足してもらわないといけない、みたいな(笑)。ネコに対しても、“こうしていて欲しい”という希望はあっても、当然そうはいかないので、なかなか大変な撮影でした」