【安達祐実さんインタビュー】映画『三日月とネコ』が大人に刺さる!「この3人の、傷を舐め合うような関係も何かいいな」
『三日月とネコ』ってこんな映画
熊本地震が起きた晩、同じマンションに住む書店員の灯(44)、精神科医師・鹿乃子(34)、アパレルショップ店員勤務の仁(29)は、避難場所でネコを介して意気投合し、共同生活を送ることに。年齢も職業も境遇も違うものの、“ネコ好き”という共通点を持つ3 人は、一緒に食卓を囲み、それぞれの職場や友人関係の悩みを打ち明け、心地よく暮らしていた。しかし灯が編集者の長浜(山中崇)と出会ったことで、生活に少しずつ変化が生じ――。灯に安達祐実、鹿乃子に倉科カナ、仁に渡邊圭祐がそれぞれ扮する。監督・脚本は、35歳の新鋭・上村奈帆。 なんと言っても灯、鹿乃子、仁が繰り広げる3人の関係性が魅力です。地震で外に避難してきた心細い時に出会う始まりからして、“何かが始まる”と期待を高めてくれて。 「最初は地震きっかけで初めて言葉を交わした3人が、どんどん近づいていく――言ってみれば運命的な出会いですよね。お互いを認め合えるし、とても大切な存在になっていく関係が、すごく素敵だなと思いました。それぞれ不安になった時に寄り添える人が居てくれるって、本当にいいな、と。媒介となったネコの存在も大きいし、そういうことが重なって出会えたということにも運命を感じます」
しかも20代、30代、40代と、年代も職業もまちまちで共通点がほとんどない3人が、かけがえのない存在になっていくのがいいですよね。そんな3人の距離感の変化など、どう測りながら演じていきましたか? 「多分、理屈じゃなくて“ネコ”に対する愛情のかけ方や、自分の中で“ネコ”の存在の大きさなどが同じだったんだろうな、と。そういうところで自然と繋がれるものもあった気がしました。みんなそれなりに生きているように見えるけど、実は本当の居場所が見つけられなくて、どこか探しながら生きていた。それは私たち全ての人に言えることかもしれないですが、自分で自分にダメ出ししたり、この生き方でいいのかと自信を失ったりして。でも、3人が互いに互いのそういうものを受け入れて、“それでいいじゃん。みんな本当はそうだよ”と言ってくれる。お互いにそんな風に声を掛けられる相手を見つけられたって、すごく幸せですよね。だからみんなにとって、とってもいい出会いだったと思います」 同年代の友達に励まされるのとはまた違う、別の世代の2人だからこそ励ましが効く、という部分も大きいように感じました。 「確かに、その年代にはその年代なりの焦りや悩みがあると思いますが、そういうものを越えて、もっと根本的なところでの人間としての支え合い、みたいな面が強く感じられますよね。また、世代が違うからかえって気楽な部分もあるだろうし。本当にいいバランスなんですよね」