子どもにはどちらがいい?宿題、部活なし。自立重視、日本と違う米国夏休み
学校生活の延長線上から外れたところにあるもの
子どもが小さいうち(6歳以上)は親子で、ティーン(14歳以上)になったら本人だけで、老人ホームやホームレスのためのスープキッチンなどでボランティア活動に参加するのも、夏休みを有意義に過ごす方法のひとつです。何より社会貢献になりますし、通常の学校生活からは得られない体験という観点からしても、サマーキャンプになんら引けを取りません(しかも無料!)。 非常に長くて宿題もない米国の夏休みですが、これまでみてきたことからわかるように、子どもにとってひたすら自由時間を満喫するリラックス期間というわけでは必ずしもないのです。算数ドリルや漢字練習帳、読書感想文はありませんが、新たな環境で新たな仲間と新たなテーマについて学ぶことで、“コミュ力”や環境適応能力、自立心、自信を育くませたい、育みたい。それが米国の夏休みのひとつの姿といえると思います。 学校生活の延長線上にあるものではない、むしろそこからはずれることの探求、とでもいいましょうか。親しみのある学校、親しい友は心地よいものですが、そこから3カ月近くも毎年放り出されたら、否が応でもかなりもまれることでしょう。やっぱりいじらしい……(涙) ニューヨーク市内は8月に入ると、お盆休みの東京とまではいきませんが、普段の喧騒が少し和らぎます。休暇で「out of town」になる人たちがたくさんいるからです。 それまでサマーキャンプや仕事を頑張って、その後は旅行に出たり、遠方の家族に会いに行ったり、あるいはほんもののキャンプをしたりと、9月からの新年度に備えてつかの間のスローダウン。またはいつもよりのんびりした街に残るのも、それはそれでまた楽し。そんな風にニューヨークの夏は過ぎ、9月初めにはすっかり秋の気配が漂うなか、新たな学年度の始まりです。 ---------- 金子毎子(かねこ・まいこ) 在ブルックリン。ニューヨークの日系新聞編集長を経て、現在は国際人権団体のコンサルタントおよびフリーランスのライター、編集者、翻訳家。