子どもにはどちらがいい?宿題、部活なし。自立重視、日本と違う米国夏休み
“全く”新しい学校と仲間で過ごす“全く”新しい日々
子どもにしたって、やっと夏休みになったと思ったら、全く新しい「学校」で全く新しい「仲間」と過ごす日々なわけですからそれなりに大変です。夏になると公園や市民プール、ビーチ、動物園、博物館、水族館などいたるところに、そろいのTシャツを着ている子どもの集団がいます。その姿がなぜかいじらしく、思わず「がんばれ~」と応援のひとつもしたくなる瞬間です。 娘を「プリンセスキャンプ」なるものに参加させた人に感想を聞いたところ、プリンセスらしいマナー教室的な感じかと思いきや、「女の子だってなりたいものになれる」とガールズパワーを叩き込まれて帰ってきた、と笑っていました。 ニューヨーク市出身の友人は、かつて自分も参加していたような、バスで子どもたちを毎朝「郊外」まで連れ出してくれるキャンプをチョイス。街を抜け出すことで非日常を得られるのが魅力なんだそうです。 そして、ここブルックリンには日本語プリスクール「あおぞら学園」もあります。今年のテーマは日本史。勾玉ネックレスを創作したり、年長さんは平家物語の導入部の暗唱までしたそうです。「今は言葉の意味をよく理解できないまま暗記しているだけでも、このプログラムで学んだ日本語の種がいつか真の意味で日本文化への興味として花開く時がくると思うんです」と、学園長の西間庭美穂さんは言います。 親も子どもも、それぞれに大変なサマーキャンプですが、多種多様な学びの機会がそこには確かにあります。
お泊まり型キャンプで“コミュ力”の向上を目指せ?
一方で、米国の青春映画に出てくるような(?)お泊まり型サマーキャンプももちろん存在します。こちらは基本的に1週間以上の単位で親元を離れることになるので、小学校3年生前後からの参加が一般的です。 たいていは大自然の中にあるキャビンで集団生活を送るお泊まり型は、単なる子どもの預け先というよりは、特別な学習体験の機会ととらえている親が多いようです。宿泊型のサマーキャンプは、独立心はもちろん、レジリエンス(耐久力)や対処能力の強化など、子どもの成長におおいに効果ありという心理学の調査結果も出ています。 とはいえ、全米各地で差こそありますが、お泊まり型は当然ながら日帰り型よりもさらに高額です。望めばどの家庭でも子どもを送り出せるという値段ではないので、こうした貴重なひと夏の体験にも格差が出てしまう現実があります。 それでも高校生以上になれば、子どもたちに付き添い指導するカウンセラーとして、アルバイト参加するという手も。ある経済報告によると、2012年に東海岸北部(ニューイングランド地方)だけで、7000のサマーキャンプ・プログラムが19万人(16歳~24歳)の夏季雇用を創出しました。 若者が、ただお金を稼ぐだけでなく、コミュニケーション能力やチームワーク、リーダーシップを育むよい機会ですし、そんな姿を見て、将来参加しているキャンプのカウンセラーとして戻ってくることに憧れる子どもが多いのだそうです。