渋沢栄一の帽子づくりの理念と文化を後世へ:Tokio hat(トーキョーハット)
従来の枠にとらわれない帽子づくり
ー帽子からは想像できない新素材やコラボレーションも展開されていると聞きました。 「Tokio hat」は長い歴史があるにもかかわらず、世の中の認知度はまだまだ低いと感じています。新素材やコラボレーションによって、新たな層を取り込みつつ、我々の帽子を知ってもらいたいという狙いがあります。
そのひとつに俳優の松山ケンイチさんと小雪さんが立ち上げた「momiji」は、捨てられていく獣皮をアップサイクルするライフスタイルブランドです。活かしきれない貴重な資源と「Tokio hat」が持つ革製品の技術とをかけ合わせてコラボレーションしています。
その他にスニーカーからインスパイアを受け、ヴィブラムソールを取り入れたのも、既存の帽子のイメージを覆すためです。スニーカーはどんどんハイテクになっていくのに、帽子は昔から一向に大きく変化していない。そうしたイメージを払拭する帽子になったと思います。
ヴィブラムソールだけでなく、オーロラ株式会社の本業である傘のノウハウと素材を取り入れた帽子や、同じく渋沢さんが創業した王子製紙さんから誕生した王子ファイバーの和紙糸「OJO+(オージョ)」を使った日本の文化を象徴するような素材を使った帽子は、新たな「Tokio hat」の姿をお伝えする商品として力を入れています。
ー日本の帽子文化の発展のために、「Tokio hat」は今度どのような活動を展開していくのでしょうか。 帽子の需要は下がりつつあるとお話ししましたが、実は世界から見ると日本人の冠帽率は高いです。その理由は、幼稚園や小学校でも帽子をかぶることが多く、習慣化しているからです。このアドバンテージをどのように活用するかが、今後の帽子文化の発展の鍵になっていきます。 まずは、日本初の帽子ブランドとしての需要を高め、海外への展開も強化していきます。この動きは、かつて渋沢さんが目指したものと同じです。海外から取り入れた文化を日本の技術でブラッシュアップし、再度海外へ広めていくという循環を、いま一度取り戻そうというものです。 渋沢さんが創業から関わっている歴史ある企業として、この伝統を後世に残していくためにも、「Tokio hat」は挑戦を続けます。