渋沢栄一の帽子づくりの理念と文化を後世へ:Tokio hat(トーキョーハット)
トーキョーハットが現代に合わせてアップデート
ー「Tokio hat」の商品の特徴を教えてください。 2019年に「Tokio hat」はリブランディングし、大きく2つの方向性を打ち出しました。ひとつは、帽子の未来を考えたときに、もう一度原点に戻って伝統的な帽子づくりをしていく必要があるのではないかということ。そこで、人気のある布製の帽子だけでなく、需要の落ち込んでいたフェルト素材や天然素材の帽子づくりにも力を入れました。 さらに、日本人の頭のかたちに合わせた帽子づくりへの挑戦です。頭頂部から見たときに、アジアの人の多くが円形(短頭型)で、ヨーロッパでは縦長(長頭型)が多いと言われています。帽子と自分の頭のかたちが一致していないと、どうしても不格好になってしまい、自分には帽子は似合わないと判断してしまうのです。 Tokio hat ではオーダーも承っており、最初にお客様の頭を測定し、短頭型と長頭型のどちらに当てはまるのかを判断します。一般的にはメジャーで頭部の周囲を測るだけなのですが、特別な測定機を用いることで、より正確な情報を得ることができます。
お客様一人ひとりの頭を測定し、それに合わせた帽子づくりをするのは、多くの時間と労力を割きます。ですが、それこそ渋沢さんが目指した帽子づくりの姿ではないかと考えています。 日本人に合う、かぶり心地のよい帽子をつくる。これを実現するために、日々ものづくりに精進しています。 そして、もう1つの方向性が、「Tokio hat」を3つのラインで再構築することです。フェルトや天然草を中心に伝統的な帽子を扱うプレミアムライン、シンプルで普遍的なものを作るベーシックライン。そして、未来を見据えてチャレンジするコラボレーションラインの3つのラインです。 コラボレーションの考えに至ったのも、帽子産業の将来を憂いてのことです。130年以上の歴史ある帽子産業をこれからも続けていくためには、いまの時代に合ったものを作らなければならないと思い、異業種の分野で登場した新素材を生かしていこうというのも目的にしています。