大逆転でオリンピック2連覇を果たした堀米雄斗!スケートボードの魅力が詰まった史上最高の大会「パリ2024オリンピック」スケートボード・男子ストリート種目
【トリック5本目】
運命の最終トライ。スロバキアのリヒャルドは再びメダル圏内を狙うべく「バリアルヒールフリップバックサイドノーズグラインド」をハバレッジで挑戦するも惜しくも決まらず。不屈の精神で掴み取った初めてのオリンピックは5位という大健闘の結果で終えた。 19歳で今回のファイナリスト最年少となったカナダのコルダーノは10段ステアについているハバレッジをなんと逆から登る「フロントサイド50-50グラインド」にトライしたがミス。しかしそのままもう一度トライしスコアには反映されないが見事に決めて観客を沸かせ最終的に7位で初のオリンピックの舞台で堂々の爪痕を残した。 前回メダリストとして意地を見せたいブラジルのケルビンも果敢に「バックサイドビッグスピンフロントサイドテールブラントスライド」に挑戦したが決まらず6位で2回目のオリンピックを終えた。ここまで本来の調子を出せていないアルゼンチンのマティアスはラストで「ビッグスピンキックフリップフロントサイドボードスライド」をハンドレールで決め84.12ptと8位で初のオリンピックを後に。 そして後がないディフェンディングチャンピオン、連覇のかかった堀米のラストトライ。非常に集中した表情で気負った様子も感じず追い込まれたと思っているのは我々だけではないかと感じさせる雰囲気でアプローチに入った。 もちろん狙うは逆転でパリオリンピック出場を決めた時と同じトリック、「ノーリーバックサイド270ブラントスライド」。この土壇場で完璧に決め切った、そして出たスコアは97.08pt。会場は歓声というより地響きのような物凄い雰囲気となった。これにより暫定首位だったジャガーを0.1ポイント上回り逆転で首位に浮上。オリンピック予選最終戦で決めた際は96点台だったがその時よりもサイズの大きなレールでのメイクだったためスコアがさらに伸びたと予想する。 この流れに乗りメダル圏内を狙う白井は「ノーリーバックサイドビッグスピンバックサイドテールスライドビッグスピンアウト」を紙一重というところで惜しくも決められず、悲願だったオリンピック決勝の舞台は4位で終えた。 逆転金メダルには94.56ポイントが必要なナイジャ。3、4本目と同じ「スイッチヒールフリップスイッチバックサイドクルックドグラインド」に挑戦。このトリックが決まれば十分に逆転もありえる難易度だが、しかし無情にも回転が合わず決まらなかった。この時点で悲願だったオリンピックでのメダルのは銅メダルに確定。 パリオリンピックスケートボードストリートの大トリとなったジャガー。逆転金メダル獲得には93.98pt以上が必要となり、ジャガー自身も異次元のトリックに挑戦しなければ優勝が狙えない状況。 オリンピックのルールとしてトライが始まれば、セクションや自身のデッキの滑りを良くするために使用するワックスを塗ることは禁止されている。だが、たとえペナルティになる可能性があってもこのトリックをやり切るしか堀米を超えることはできない。そんな気迫が伝わってくるようにワックスを塗り込んだ。 ルールはルールだがこれに文句言うスケーターはおそらく世界のどこを探してもいないだろう(筆者の見解)。そしてジャガーが選んだ勝負のラストトリックは「キャバレリアルノーズブラントスライド」という身体とデッキのコントロールが限りなく100%に近い精度が要求される技。しかし、惜しくもノーズはしっかりかからず失敗。この瞬間劇的大逆転で堀米雄斗のオリンピック2連覇が決まった。
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