減らない過労死「人の命、犠牲にしないで」「未来の子供守る」電通社員自殺9年 母が手記
広告大手電通の新入社員、高橋まつりさん=当時(24)=が長時間労働やパワハラに苦しみ自殺してから25日で9年となるのを受けて、母の幸美さん(61)が手記を公表した。「たとえ事件が人の記憶から消えても、どんなに時が過ぎても、まつりは大切な愛(いと)しい娘。一生忘れない」と心情をつづった。 亡くならなければ入社10年目になるはずだったとし、「最も大切なのは、働く全ての人の人権を尊重した経営を行い、社員が生き生きと誇りをもって働ける会社であることだ」と訴えた。 手記では、過労死防止法施行から10年がたつも、現在も過労死する人がいる上に精神障害の労災請求件数が増えていることに「企業の利益のために人の命が犠牲になることがないように、働く人の健康を第一に考えた経営、国の政策を実行してほしい」と国に対策の見直しを求めた。 今でも娘を救うことはできなかったのかと考えるという。「まつりと同じように苦しんで亡くなる若者がいなくなるように、働く人、若者の命、未来の子供たちを守りたい」とし「誰もが安心して働き、希望をもって人生を送れる国になるように願い、まつりとともに力を尽くす」と誓った。