髙橋藍・バレーボール「日本で次のロス五輪に合わせていく考えも、ブラン監督は同意してくれました」
バレーボール男子日本代表の髙橋藍が語る、パリ五輪の反省とロス五輪への覚悟。 【写真を見る】髙橋藍、雄叫びをあげて、チームを鼓舞!
髙橋藍「1点を取る力」
興奮気味な聞き手とはあまりにも対照的だった。 日本中が固唾をのんだパリ五輪の男子バレーボール準々決勝。強豪イタリアから2セットを先取した日本代表は、マッチポイントを掴みながら1点が奪えず、大逆転負けを喫した。 「ドイツ戦からフルにパフォーマンスを発揮できなかった。気持ちは昂っているけれど、冷静さがついてこない。あの会場の雰囲気に慣れるのは難しかったです」 同じ質問を何百回と受けてきたのだろう。このパリ五輪でキープレイヤーの一人に挙げられていた髙橋藍は、悔しさを滲ませながらも淡々と答える。帰国後の取材攻勢もあって「さすがに寝不足です」と語るが、端正なマスクが邪魔をするのか、不思議と疲れていないように見える。 「ケガを抱えて大会入りしたのですが、ケアし過ぎないようにしました。カラダをナチュラルな状態にしておきたくて」 1年前のインタビューでは、「長い時は1時間、短くても30分。疲れていても必ず」と、寝る前の習慣としてストレッチの重要性を語っていたが、五輪期間中はどうだったのだろうか。 「ストレッチは毎日同じように。セルフ以外にも筋肉をほぐしてもらっていました。ここが難しいんですが、ほぐし過ぎるとプレイの感覚が変わってしまうんです。ちょっとのズレというか、そこを結構敏感に感じるタイプなので。いい張り感を残すというか、少し疲れた状態でイタリア戦に臨みました」 髙橋個人も、チームも波に乗り切れないながらも、なんとか準々決勝進出を果たす。入念な調整が功を奏したのか、イタリア戦で髙橋は躍動。オールラウンダーらしく、すばらしいディグを見せた。チームを鼓舞するためか、あるいは自らに向けたものか、何度も派手に雄叫びをあげる。 そういえば、1年前にも「ここ一番で決め切れる、日本のエースになれるように毎日を大切に生きています」と答えた髙橋だったが、それでもラスト1点が取れない。 「これがオリンピックだなというのを、すごく感じた試合でした。3セット目は誰もが勝てると思った瞬間があって、21対24とマッチポイントを取った時は勝利を確信しましたから。全選手の頭によぎったはずで、でもそれが、甘さというか」 第5セットは拮抗したものの、流れは戻ってはこなかった。 「あのセットを取り切れなかったダメージが大きかった。ここから切り替えて、あと1セット、あのイタリアから取らないといけないというしんどさもありました。逆にあそこで1点を取り切る力の重要性を、改めて思い知らされました」