鈴木紗理奈も菊川怜もなぜ「実業家」にだまされてしまうのか ワイドショーが主戦場の女性タレントの弱み
主戦場をワイドショーに切り替えざるを得なかった? 強力なライバルたちに囲まれた不運
紗理奈さん、菊川さん、朋ちゃんのもう一つの共通点は、「ワイドショーのレギュラー経験」である。実は朋ちゃんも「PON!」(日本テレビ)で、2015年から2年半にわたり曜日コメンテーターを務めていた。 ワイドショーで求められるのは何よりも親しみやすさ。しかし、お茶の間での好感度と引き換えに、女優や歌手としての威厳は失われていくのではないか。ドラマや音楽番組でしか見ないタレントの方が、神秘的であり格上であると考えられがちだ。とはいえ、その高級路線を貫きたくとも、同世代に強力なライバルが多過ぎたのかもしれない。 例えば紗理奈さんは「全日本国民的美少女コンテスト」の演技部門を受賞してデビュー。歌手としても活動していた。ただ同じ年のデビュー組に広末涼子さん(44)という怪物がいたのが不運だったと思う。さらに小室哲哉さんの楽曲提供も受けていた8頭身美女の観月ありささん(47)など、とにかく器用で華のあるライバルが周りに多過ぎた。 菊川さんはファッション誌「Ray」のモデルから女優に転身したが、当時はモデル出身女優ブーム。同じ事務所のすぐ上には米倉涼子さん(49)がいて、長谷川京子さん(46)や伊東美咲さん(47)らは「CM女王」の名をほしいままにしていた。朋ちゃんも安室奈美恵さん(47)と入れ替わるようにして音楽番組から遠ざかっていった印象が強い。 こうした強力なライバルたちの中で中年期に差し掛かり、ルックスやパフォーマンス以外で頭一つ抜け出るには、不本意でも戦う場所を変えるしかない。実際に紗理奈さんたちは、歌や演技にしがみつくことではなく、トークやリアクションの反射神経を見せることで、改めてタレントとしての器用さを知らしめた。紗理奈さんの生謝罪が好意的に受け入れられているのも、今までの経験のたまものだったといえるだろう。あざとく立ち回る演技派女優であればまた話は変わっただろうが、女優としての代表作がない、ということがいい意味で役に立ったのかもしれない。