好感度ワースト1位なのに!? アンチが多いはずのタレントがテレビや広告から消えないワケ
タレント広告が有効なのは周辺ルート
ただ、ひとつ注意しておかなければならないのは、タレント広告が有効な商品やサービスと、それほど有効でない商品やサービスがあるということです。 タレント広告は結局のところ、タレントの好感度というイメージを利用しているわけです。とすると、商品認知-購買プロセスにおいて、周辺ルートで処理される場合に効果を発揮します。 中心ルートの場合には、そもそも購買の意思決定が広告に登場している人の好感度や雰囲気に左右されにくいので、タレント広告の効果は限定的になります。 たとえば、あなたが自動車マニアでスポーツカーを購入したいという場合、重要なのはスペックであって、アイドルがほほえんでいる広告によって買いたくなることはないと思います。 また、非常に高価なもの、たとえば不動産などでも広告に出てくるタレントはあまり関係しないでしょう。 一方で、比較的安価なものや、スペックに差がなかったり、ユーザーがスペックの差を評価する能力を持っていなかったり、評価するつもりがなかったりする場合、スペックよりもイメージが重要なものには、このタイプの広告が効果を発揮しやすくなります。 車でいえばファミリーカーや軽自動車、パソコンでいえば初心者ユーザー向けの入門機、チョコレートやスナック菓子などは、タレント広告が有効になると考えられます。
タレント広告における好感度仮説
では、タレント広告を作る場合、どのタレントを使うべきでしょうか。 上記の仮説が有効に働くためには、使用するタレントの人気があり、好感度が高いことが決め手になってきます。これを好感度仮説といいます。 事実、広告に使用されるタレントは、好感度ランキングトップの人ばかりになるのが普通ですし、好感度ランキングの順位とコマーシャル出演本数は非常に高い相関を持っています。 もし商品のターゲットが明確に決まっていれば、老若男女に人気がある人よりも、そのユーザー層にとってとくに好感度が高いタレントを使うのがよいでしょう。 たとえば、若い女性向けの商品の場合には、その層が支持するタレントを、高齢者向けの商品であれば、高齢者が好きなタレントを用いるのがセオリーです。 そのため、雑誌『日経エンタテインメント!』などが公表しているタレント人気ランキングは宣伝部や広告代理店にとって重要なツールになります。 最初に、日本や韓国、中国などでタレント広告の人気があり、欧米諸国ではそれほどではないというお話をしましたが、この原因のひとつは、人種や民族が比較的単一だからである可能性があります。 「すべての人に人気がある」タレントが存在しやすいからです。