「地獄にいくのも怖いですが、明日がくることがもっと怖い」24歳警察官が命断った原因は「長時間労働」地裁認定 熊本
熊本放送
「死んで地獄にいくのも怖いですが、明日がくることがもっと怖い」 こう書き残して自殺した、24歳の現職警察官。自殺した原因は「長時間労働」であると、熊本地方裁判所が認定しました。判決に臨んだ警察官の母親が、胸の内を語りました。 【写真を見る】亡くなった渡邊崇寿さんの制服姿/ 母・美智代さん ■月130時間超の時間外労働 2017年、熊本県の玉名警察署の刑事課に所属していた渡邊崇寿(わたなべ たかとし)さん(当時24)が自ら命を絶ちました。 渡邊さんの母親、美智代(みちよ)さんたち遺族は「渡邊さんが自殺したのは常態化した長時間労働が原因」として、県に約7800万円の損害賠償を求め提訴しました。 遺族によりますと、渡邊さんは自殺する前の5か月、平均で月130時間を超える時間外労働をしていたということです。 渡邊さんの遺書には『すみません。つかれたので休みます。』という言葉が記されていました。 渡邊さんの遺書 (一部抜粋)『死んで地獄にいくのも怖いですが、何もないところに行き消えてしまうのも怖いのです。しかし、明日がくることがもっと怖いのです。』 渡邊さんの母・美智代さん「地獄に行くより明日が来るのが怖いという言葉が、どんなにつらかったのだろうかなと」 また、崇寿さんが自殺した理由について県警から明確な説明がないままだと言います。 美智代さん「県警は説明をする義務がある。私たち遺族は聞く権利がある。だからそこをきちんとしてほしい」 ■判決は「県に約6200万円の賠償」 12月4日の判決で熊本地裁の品川英基(しながわ ひでき)裁判長は、個人の生命や犯罪と向き合う警察の仕事の特殊性に触れた上で、県警側が「業務の過重性を回避すべき注意義務を負うものと解釈すべき」として、長時間労働と自殺の因果関係を認め、県に約6200万円の賠償を命じました。 判決後の会見で、美智代さんは涙をぬぐいながら息子への言葉を紡ぎました。 美智代さん「勝ったよ、報われる時が来たよと伝えるだけです」 「ごめんねっていう気持ちでいっぱいですよね」