試合に出られない時期、選手はどうあるべきか? 岡崎慎司が実践した、成長するための「自分との向き合い方」
「出られない期間があると自分を成長させるための練習ができる」
選手としての葛藤を抱きながら、努力を重ねる。時に出場機会が限られる時期もあるだろう。そんな時でも岡崎はふてくされることなく、むしろ「出られない期間があるともっと自分を成長させるための練習ができるから」とポジティブに捉えていた。試合に出続けているとコンディション調整を考慮して、練習量を抑えめにすることもある。逆に出ていないときはトレーニングでガツガツできるから、どんどんチャレンジしたり、いろんなことに意識を向けられると話してくれたことがある。 「ずっと先発として出てた時に、疲れがたまってきても試合に出続けたいから出るんですが、でも無理がきかず安牌なプレーが増えてくるんです。ただ、なんとなく試合には勝っていて『岡崎がここで起点になるプレーをしてくれるから、チームはいいサッカーしてるよね』みたいな感じだと、バッと負け始めたときに、そういう選手が一番最初に外されることに気づくんですよ。 プレーが怖くない選手になってきているかもしれないと気づいたとき、『ここから違う自分を見せていこう』と考えました。一度頭の中をリセットして、例えば今までだったら簡単にバックパスしていた場面で、前を向いて勝負したり、自分からアクションを起こしていく回数を増やしていく。疲れなんて気にせず、それをトレーニングからどんどんやっていく。それはめちゃくちゃ大事だと思うんです」 トレーニングでというと、自分にベクトルを向けた取り組みと、チームにとっての取り組みとがある。欧州で活躍する日本人選手はそれぞれのトレーニング内容や目的を汲み取るが、海外の選手だとそこまでこだわらずにプレーをする選手も少なくない。 トレーニングの意図を汲み取ることがなぜ大事なのかを尋ねてみた。 「間違いなく意図を汲み取れたほうが成長できると思うんです。ただ、汲み取りすぎてもダメ。育成年代から汲み取りすぎていたら、言われたことをやるだけの選手になってしまう。意図を汲み取りつつも、ある程度その中で自分には何ができるかのチャレンジがないといけない。練習の意図を汲み取っていれば、どのタイミングで自分の良さを出せるかもわかってくる。何も考えていない選手だと、ただ言われたことだけをやるのか、もしくは別に関係ねえよとチームとしての決まり事を無視してやるか、バランス的にはどちらもよくない。 僕がいつも心がけていたのは、意図を汲み取れると先読みできるっていうか、自分の良さが出しやすくなるんです。監督が練習で何を求めているかもわかるし、この監督はどこに腹を立てているのか、どういうプレーを嫌がっているのかもわかる。これは試合でも一緒なので、試合でのイメージもしやすいですよね」