痔のレーザー治療のメリット・デメリットを医師が解説! 費用やリスクもご紹介
炭酸ガスレーザーを使ったいぼ痔手術とは?
編集部: 炭酸ガスレーザーについて、もう少し詳しく教えてください。 白畑先生: 通常、肛門外科の手術器具には、メスや電気メスが使用されます。メスは切れ味が良い反面、術中の出血が多く、術後の痛みの原因になることも多いとされています。そこで活躍するのが炭酸レーザーです。これまでの手術方法はそのままで、手術に用いられる器具を炭酸ガスレーザーに替えるだけで、患者さんの負担を大幅に減らせることができるのです。 編集部: どのように減らせるのですか? 白畑先生: 従来のメスや電気メスは、メスそのものを病変に当てて、その熱で切開や切除をおこなっていました。そのため、術後に火傷のような状態になったり、痛みが出たりしました。一方で、炭酸ガスレーザーは光線を使うので、病変に接触することなくレーザー照射で病変を切除することができます。火傷や痛みなどの組織への損傷を、電気メスの3分の1程度まで軽減することが可能です。 編集部: ほかにも、メリットはありますか? 白畑先生: 直径1mm以下の細い血管からの止血がすぐにできるため、出血が少なくて済む点もメリットとして挙げられます。そのため、術後の腫れ・むくみがかなり少なく、痛みも軽減されます。総合的にみて、これまでのメスよりも術後の回復が格段に早くなります。当院において、炭酸ガスレーザー導入後に大きな合併症は認めておらず、リスクも少ないと言えるでしょう。 編集部: 反対にデメリットはありますか? 白畑先生: 「直径1mm以上の血管の場合、止血はできない」ことと「大きな痔の場合、炭酸ガスレーザーだけでの手術は難しい」ことがデメリットとして挙げられます。 編集部: 費用の目安についても教えてください。 白畑先生: 保険が適用される手術なので、レーザー装置を使っていても使わなくても費用は変わりません。日帰り手術の場合、3割負担で2~3万円、1割負担で7000~1万円前後となります。入院する場合は、治療費に入院費用が上乗せされます。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 白畑先生: いぼ痔の治療法は、場所や大きさなどの適応条件を満たしていれば、注射のみでの治療が可能です。手術をする場合も、炭酸ガスレーザーを用いることで、術後の負担を大幅に減らすことが可能です。また、今回はいぼ痔の手術について解説しましたが、いぼ痔以外にも、慢性裂肛、あな痔、ポリープ、スキンタグなどに対しても、炭酸ガスレーザーの長所を活かした低侵襲の手術が可能です。まずはお近くの大腸肛門病専門医に相談してみてください。