安倍元総理と“友情”を育んだ議員がいた…自民党の悪習を、安倍元総理とヒラ議員が崩壊させた話
安倍元総理として最高顧問ではなく、ひとりの会員となることを承諾
現職総理で居るあいだは、こうした議員集団に入ることはできませんから、総理をお辞めになってからです。 ただし、安倍さんは特別会員です。 そりゃ、元総理だから特別会員だと思うでしょう? それが違うのです。特別会員なのは、内閣総理大臣の経験者だからではありませぬ。 わたしは安倍さんに、月に200円の会費を払ってくださるようお願いしました。 護る会は、旧来の自由民主党と違って、おカネが動きません。 200円は、総会や執行部会を開くときのペットボトルの水、お茶を買うためです。 ところが安倍さんは「俺、払わないよ」と仰います。 「なぜですか」 「だってさ」 「だって元総理だから、ということですか」 「そうだよ」 「護る会に、元総理も何もありません。自由民主党の議員連盟の名簿を見ると、どの議連も、その元総理といった方々が、最高顧問という肩書きで頭の上にいっぱい乗っていて、沢山の名誉職のお名前を読み進んでから、やっとほんとうの代表とか会長の名前になります。 護る会は、そんなことをしません。安倍元総理は、最高顧問ではなく、ひとりの会員になっていただきます」 「それ、いいね。しかしさ、俺が護る会だけ、200円を払ってふつうの会員になってると、他の議連から、うちもそうしてくれとか、うちと違うじゃないかとか、言ってくるんだよ」 「なるほど。わかりました。じゃ、払わないでいいです。その代わり、やむを得ず200円を払っていないということをはっきりさせるために、特別会員と致します。総理、それで、よろしいですか」 「うん。特別会員。わかった」 これは、電話の会話、そのままです。
安倍総理と青山繁晴氏電話の意味
安倍さんとわたしとは、日本を敗戦後の思い込みという頸木から解き放そうという歴史観、国家観が一致していました。 しかし安倍総理のやる消費増税にも、のちにお話しする習近平国家主席の国賓招聘にも、強く反対し、意見の重大な違いは多かったのです。 それを、この電話のように、なんとか一致点を探すという間柄でした。 この電話、ちいさなことに見えますが、実はそれなりに意味があります。 自由民主党、この結党からほぼ70年の政党が長年、積み重ねて守ってきた慣習を、直前まで総理だった大政治家と、当時は当選1回のヒラ議員が語らって、壊したのですから。 文/青山繁晴 構成/日刊SPA!編集部
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