安倍元総理と“友情”を育んだ議員がいた…自民党の悪習を、安倍元総理とヒラ議員が崩壊させた話
山田議員の前で犯した“失敗”
問題はその後なのでした。大統領選の開票が始まってから、投票数ではヒラリーさんがかなり多いという確実な、米国の情報がありましたから、山田さんに「ヒラリー大統領で決着しそうです」と答えてしまいました。 実際には、みなさんのご記憶の通りです。 トランプさんはヒラリーさんに実に300万票に迫る大差(286万票差)をつけられました。しかし、アメリカ大統領選に特有の「選挙人」という制度でトランプさんが獲得した選挙人の数で上回って、トランプ大統領の誕生となりました。 山田宏さんに『あれ? 青山さんも間違うんだ』という表情が浮かんだのを覚えています。 本会議場の議席というのは、まるで生徒のクラス替えのように、国会ごとに変わります。 あいうえお順です。ですから青山の「あ」と山田の「や」、最初と最後がぐるっと回ってたまたま隣同士になったようです。 そのあと何度も「席替え」がありましたが、このように最初と最後が隣というのはこの時だけです。何でも運命論にするのは良いことではありません。ただ、ご縁があったと言えば、それは間違いなくそうでしょう。
国政勉強会「不朽焼き鳥会議」発足
こうして本会議で会うたびにすこし話しているうち、山田さんから、焼き鳥屋に行こうという話になりました。 即、行きましょうと答えましたが……これがふつうに「吞みに行こう」という話では無かった。 山田さんはいろんな美味しいお店に詳しいです。この焼き鳥屋は六本木の細い路地にある「燃」という店です。てっきり「ねん」かと思ったら「もえ」と読むのだそうです。 この面白い読み方と同じくらい、ご亭主も面白い。 山田宏さんは、この焼き鳥屋を「会場」にして「青山繁晴先生を囲む焼き鳥会議」と名付けた勉強会を開くというのです。 わたしは仰天しました。 山田さんは、ここに何人かの国会議員を集めて、わたしの話をみんなで聴くと仰るのですが、そんな僭越な名前の勉強会ではわたしは出席できません。 そもそも山田さんは、東京の杉並区長として行政経験もあり、日本創新党の党首という一国一城の主でもありました。提案はお受けするにしても、名称からわたしの名前を外して「焼き鳥会議」にしましょうと言ったら、山田さんらしくあっさりと、それはそれでもいいですよ、ということです。 わたしはそれだけでは悪いと思って、別の名前を考えました。 吉田松陰師が、その獄中から高杉晋作さんに送った手紙のなかに、以下のひとことがあります。 「死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。生きて大業の見込みあらばいつもでも生くべし」 ここから採って「不朽焼き鳥会議」としました。山田宏さんはこれもすんなり認めてくれたのですが、この変な名称が定着する前に、焼き鳥会議はどんどん人数が増えていきます。 もう元の個室では入りきれなくなって、ご亭主が路地の向かい側の別室を用意してくれました。