藤岡真威人「今は“自分らしさ”をしっかり育てたい」理想とする俳優像とは
俳優・藤岡弘、さんの長男で、2020年に俳優デビューした藤岡真威人さん。話題作に続々出演し、1月6日より東京公演初日を迎える舞台『西遊記』では、三蔵一行が立ち寄る是空国の国王・牛魔王の息子、紅孩児役を務める。着実にステップアップする藤岡さんが、俳優として今思うこととは? 今だからこそ目指すべきところを教えてくれました。 【写真を見る】中山美穂の息子役を演じる俳優・藤岡弘、の長男・藤岡真威人
「自分の殻を破れた」と思えた役
――この世界に入ったのはアクションをやりたかったから、とおっしゃっていましたが、お芝居についてはどんなところに面白さを感じていますか? やはり、自分の新たな一面に出会えるところでしょうか。たとえば、普段あまり大っぴらに怒ることのない僕が、めちゃくちゃ人を怒鳴りつける場面を演じたときに、「こんなふうに感情のボルテージをあげることができるのか!」と発見したときとか。今作の紅孩児は僕に近しい役ですが、まったく同じであるはずがもちろんなくて。基本的には、自分とは絶対に違うところのある人格を演じなきゃいけない。そのギャップを演技で穴埋めしていく過程で、これまでと物事に対する見方や意識が変わることがありますし、駆け出しなりに殻を破れたと感じる瞬間が訪れると嬉しくなります。 ――殻を破れた、と具体的に感じた役はありますか? 今年の夏、初めて舞台に立ったんです。『浜村渚の計算ノート』というミュージカルなんですが、僕が演じた瀬島直樹という刑事はアメリカ帰りのナルシスト。イケメンだけどキャラは三枚目っぽいというか(笑)。人前でおちゃらけて笑いをとることもあるし、何から何まで僕と違うから、本当に演じられるだろうかと不安だったんです。ところが全公演を終えてみたら、僕のことをよく知っているはずの幼なじみや友人が「真威人くんってこういう人だったんだね」と、あたかも僕自身が直樹であるかのような感想をくれて。 ――そのくらい、演技が自然だったんですね。 そうなんです。そんな感想をいただけるくらい彼になりきれていたのだとしたら、ものすごく嬉しかったですし、自分にはないと思っていたユーモアを前面に押し出した演技もできるのだ、ということは一つの自信になりました。今後も自然な演技をしていくためには、もっと自分の中の引き出しを増やさなきゃいけないなとも思いましたね。