藤岡真威人「今は“自分らしさ”をしっかり育てたい」理想とする俳優像とは
今は「僕らしさ」をしっかり育てて確立していくべき
――自然な演技、というのが藤岡さんの理想ですか? そうですね……。ときどき、憑依型の役者さんっていらっしゃるじゃないですか。「まさかあの人が」みたいに、別人のような表情や息遣いを見せる方。すごいしなかなかできないことだとは思いますが、僕はどちらかというと、「僕」という一つの人格を軸に幅を広げていくタイプなんじゃないかなと思うんです。どんな役を演じていても、表情やちょっとした動きに、どうしたって自分らしさは滲み出てしまうはず。だったら今は、無理に別人になり切ろうとするのではなく、「僕」という軸をしっかり育てて確立していくべきなんじゃないかなと。 ――ご自身では、自分らしさはどんなところにあると思いますか? まだ模索中なんですが(笑)、インタビュー前編でも言った“素直さ”は一つの武器なのかな、と。わりと人の言うことには耳を傾けるタイプだし、だからといって何もかもを真正面から受け止めるのではなく、流すべきところは流しちゃう。その判別は得意なので、柔軟に対応しやすいっていうのはあるかもしれません。無駄に怒ったり、傷ついたりすることもなくなりますしね。 ――それはかなり上級者だと思うんですけど、どんなふうにそのバランス感覚を培ったんですか? みんなで話しているときも聞き役にまわることが多いからかな。姉妹が三人もいるからか、基本的には黙って聞いて、ときどきボソッと意見を言う、みたいなポジションだったんです(笑)。あとは、父が本当によく話す人で。一を聞くと百で返ってくるし、なんでそう思うのか、なぜそれをしなくちゃいけないのか、一つひとつをしっかり考えさせられる機会が日常に転がっていたんですよね。その影響も大きいと思います。 ――すごいですね……! まあ、あれこれ言われて「もう、うるさいな!」ってなることもありますけどね(笑)。でも、父がとにかく思いやり精神にあふれた人なので、人の話に耳を傾ける、自分の想いをちゃんと伝える、というところは受け継いでいるのかなと思います。その結果、わりあい素直な性格に育ったのは、僕らしさなんじゃないのかなって。