ドジャース、ワールドシリーズ進出に”伏線”があった!? パドレスとの地区Sで見せた”劇的変化”とは…?【コラム】
大舞台で示した“組織力”
シリーズ5試合で投手交代がされたのは合計24回、オープナーを含めれば25回だが、ドジャースブルペンはそのうち11回を無失点で帰ってきている。 特にGame 3~Game5では投手陣が24イニング連続無失点を記録し、強力パドレス打線を封じている。点を取られなければパドレスの強みである強力リリーフ陣を活かす場所がなくなり、この点でも勝利を大きく近づけただろう。 元々信頼できる先発投手の不足、さらには山本の中5日ルールの厳格適用からクリエイティブな投手運用が求められていたが、ロバーツ監督以下現場のドジャース首脳陣は素晴らしい運用を演じた。 米メディア『The Athletic』によればGame 4 の試合開始9時間前には首脳陣が集まりミーティングを行い、勝つために必要な27個のアウトをどのようにとるかを協議したという。 試合開始の30分前になっても協議・見直しを行い、それぞれの投手の役割、特にどの打者を誰が担当するかなどを確認していたようだ。 米メディア『Fox』のフィールドリポーターを務めるTom Verducci氏によれば、フェルナンド・タティスJr.はドジャースの無失点イニング中に9打席に立ったが7人の投手に対応する必要があった。2回対戦したのはGame5の先発である山本のみだ。 昨季のNLDSに敗れた際、ドジャース編成本部長アンドリュー・フリーマンは敗戦の原因を”Organizational failure(=組織の失敗)”としていたが、今年の勝因は反対に”Organizational Success(=組織の成功)”と言えるだろう。
意地を見せたMVP
2021年のNLCS vs ブレーブスから続くドジャース打線の沈黙。ムーキー・ベッツは2022年に14打数1安打、2023年は11打数0安打とレギュラーシーズンと比べれば失望が続いていた。今年のNLDSもGame 1では3四球も0安打、Game 2では4打数0安打と不振を極めていた。 今季のベッツは特に外角への球に苦しんでいた。パドレス投手陣はGame 1、Game 2を通して徹底的に外角へのフォーシーム、スライダー、スイーパーを投げベッツを抑えた。