衆院3補選で自民全敗、岸田政権に打撃-政治資金問題で逆風
(ブルームバーグ): 28日に投開票された衆院3補選は、いずれも立憲民主党の候補が勝利した。不戦敗も含めて自民党の全敗となり、内閣支持率が低迷する岸田文雄首相への打撃となる。
3補選は自民党派閥の政治資金規正法違反事件の摘発後、初めての国政選挙だった。同党は東京15区、長崎3区で不戦敗。島根1区の新人候補は立憲民主の元職に2万5000票近い差をつけられた。小選挙区制が導入された1996年の衆院選以降、同県内の選挙区で自民党の候補者が敗退するのは初めて。
補選の結果は「政治とカネ」を巡る問題に対する国民の反発を浮き彫りにした形となった。内閣支持率は朝日新聞が20-21日に行った調査で前月比4ポイント増えたが、26%と3割を切っている。逆風が吹く中、9月に自民党総裁選を控えた首相が6月23日に会期末を迎える今国会で衆院解散に踏み切ることができるかも今後の政局の焦点だ。
元自民党職員で政治評論家の田村重信氏は補選の結果について「首相にとって大打撃で、党内から批判も出てくるだろう」との見方を示した。低支持率のまま9月を迎えた場合は、岸田首相が総裁選に出馬するのは難しくなると分析。野党の選挙協力が全国的には進んでいないことなどを挙げ、局面打開を狙った首相が今国会中に衆院を解散する可能性はなお残っていると指摘した。
菅前首相は解散せず、総裁選不出馬
現在の衆院議員は来年10月に任期満了を迎えるが、3補選に全勝した立憲民主党は衆院解散を迫る姿勢を見せている。同党の泉健太代表は後半国会の焦点となっている政治改革が進まなければ「早期の解散を求めていきたい」と記者会見で述べた。
これに対し、自民党の茂木敏充幹事長は厳しい選挙結果だったと指摘。「若干、時間がかかる」中でも「国民の信頼を回復できるように努めていきたい」と記者団に語った。産経新聞によると、首相側近として知られる木原誠二幹事長代理は3補選の投開票日に先立つ25日、早期に衆院解散・総選挙を実施すれば政権交代する可能性があるとの認識を示していた。