「調査報告書のでっちあげで、今も教職に復帰できず…」 取手市中3いじめ自殺、スケープゴートにされた女性教師の悲痛な告白
六つの違反行為
処分の理由としては具体的に以下の(1)~(6)が非違行為(違反行為)とされた。 〈(1)当該生徒が第3学年進級後に交友関係が変化し、多くの教員や生徒たちは違和感を抱いていたが、対応せず、「いじめの関係性を固定化」させてしまったこと。 (2)生活アンケート結果で、「いじめなどを心配しないで安心して生活している」というアンケート項目について「あまりそう思わない」「そう思わない」と回答した生徒が3人いたが、具体的にどのような事実に基づいて回答したのか聴き取るなどの対応をしなかったこと。 (3)当該女子生徒の個別アルバムへの書き込みについて、書き込まれた内容を確認していなかったことなど、担任としていじめを認知しうる状況にありながら、適切な対応を怠った。また、学級経営や生徒指導での当該生徒への言動が、クラス内の生徒の関係性に変化をもたらし、当該女子生徒へのいじめを誘発、助長したこと。 (4)進路指導の際、当該女子生徒に誤った情報を伝えるなどしたこと。 (5)他の女子生徒と行動を共にすることで授業に不本意に遅れた当該女子生徒を叱責し、進学に向けての不安感、焦燥感を与えたこと。 (6)特に、当該生徒が自殺を図った日に起きたガラス破損事件につき、自殺の引き金になる不適切な指導を行ったこと。〉
知事も関与
実はこの処分には、大井川和彦茨城県知事が関わっている。処分直後、知事は毎日新聞の記者の質問に答えて、「最初は担任の先生も減給ということだったのですが、今のいじめに対する市民感覚も変わってきているということ、さらには、報告書に書かれている生徒と担任の先生のやりとりの経緯、そういうところを踏まえて、もうちょっと再考した方がいいのではないかということで、今回、こういう処分の内容に変更してきております」と発言し、処分を重くするよう指示したことを認めている。 梶原教諭は言う。 「私は停職処分を受けるような間違った行為や指導をしたのか、何度も何度も自問自答し、処分理由を何度も何度も読み返しました。しかし、事実と食い違う部分が多く、とうてい納得できず、受け入れることはできません」 教諭側は同年10月16日、茨城県人事委員会に対し、この処分の取り消しを求める審査請求(行政不服審査法に基づく不服申し立て)を起こしたが、2021年9月7日、請求は却下された。ただし、教諭が行ったとされる非違行為6件のうち3件は、「調査報告書の記載内容よりさらに踏み込んだ評価について、処分者(県)から具体的な根拠は示されていない」という理由で否定されている。