「調査報告書のでっちあげで、今も教職に復帰できず…」 取手市中3いじめ自殺、スケープゴートにされた女性教師の悲痛な告白
家の外に出られなくなり……
「この時からすべてが百八十度変わったように感じました。大きな力が働いて、真実か否かに関係なく、学校や担任、いじめをしたと決めつけられた3人の生徒が加害者で、ご遺族が被害者という図式が出来上がってしまいました。 3人の生徒については、慎重に調査した上での真実は受け止めますが、真実でないことで彼らを傷つけるようなことはあってはならないと思っています。 テレビやネットの情報をうのみにした人たちが、私や私の勤務する中学校をバッシングするようになり、さらに、私の名前と顔写真がネットに流出したため、恐怖を感じた私は家から外に出られなくなり、ご遺族宅を訪問することもできなくなりました」
そもそもいじめ自殺と断定できるのか
そもそもこの事件、いじめ自殺と断定していいのかどうかも疑問である。あえて言うが、「くさや」「耳打ち」「バスケットボールでの仲間外れ」「個別アルバムでの悪口、悪ふざけ」といったことだけが、自殺の原因と判断できるだろうか? いじめっ子とされた3人の生徒は、いじめをしたという自覚は全くなく、美恵子さんを仲の良い友達だと思っていた。だから、自分たちがいじめの加害者とされたことに驚き、調査委員会による事情聴取に対して必死にいじめを否定したが、聞き入れられなかった。 梶原教諭も、調査委員会には、知っていることを包み隠さず話し、資料も提出したが、報告書では自分が話したことと異なる説明がされており、正確さを欠いていると訴えたが、やはり無視された。要は、この「いじめ」だけでは弱いので、そこに教諭の不適切な指導が加わって自殺したというストーリーを作り上げたかったのではないか。
欠席することを事前に連絡していたにもかかわらず……
そんな折、さらなるバッシングが梶原教諭を襲った。保護者会を突如欠席したと、強く指弾されたのだ。 「2018年3月24日に行われた保護者会について、私は欠席することを市教委に事前に連絡していました。 私は、市教委による執拗(しつよう)な尋問を受けた後うつ病になり、主治医からも『無理をしてはいけない』と言われ、診断書もすでに市教委に提出してありました。 ところが市教委は、当日の保護者会開会直前に、急に私がドタキャンしたかのように保護者たちに説明したため、美恵子さんの父親が、『這ってでも来いよ!』と激高。他の保護者たちも、『今すぐ連れて来い』『迎えに行ってください』などと、私を無理やりにでも連れてくることを要求し、大騒ぎになったそうです。さらにこの“ドタキャン”がマスコミで大きく報じられ、私は世間から誤解を受け、ネットで攻撃されました」 茨城県教育委員会が2019年7月25日、梶原教諭に停職1カ月の処分を言い渡した時、同時に、校長、教頭ら、教諭の当時の上司5人も減給10分の1(12カ月~3カ月)や戒告処分にしたが、教諭の処分はそれらと比較してかなり重い。 「絶望的な気持ちでした。なぜ事実でないことが処分理由になるのか全く納得できませんでした。それまで教員として誠実に職務をこなしてきた自負があります。それらがすべて否定されたように感じました」(梶原教諭)