借金2500万円を背負った23歳「人生やるか、やらんか」ラーメン「道場」を激戦区に開店「『既存のルート』に囚われない人生の選択肢を若者に示す」自らが体現
■コロナ禍の閉塞感 社会が動かないなら「自分」で動かせばいい
しかし、新型コロナが流行。大学の授業もストップし、家に引きこもる日々が続いた。 世の中に漂う閉塞感。 「この閉塞感を自分が打破したい」 西さんは、社会が動かないならば、自分が起業して「社会を動かそう」と決め、インスタグラムで手あたり次第、面識のない経営者に「経営のノウハウを教えてほしい」とDMを送りまくった。 その中の1人から「閉店した飲食店の空き物件を貸してあげる。店をやってみるか」と声をかけてくれた社長がいた。 二つ返事で「やります」と答えたものの、自分自身は料理が作れない。 そこで、料理の腕前に定評があった同級生の奥野亮太郎さんを誘った。 彼が、以前作ってくれた麻婆豆腐が絶品だったからだ。
■甘くはなかったラーメン店の経営
こうして、なけなしの50万円を元手に調理器具などを揃え、2020年10月奈良市に麻婆豆腐ラーメンの店をオープンさせた。 店名は、「すするか、すすらんか」。「やったら道は見えるし、やらんかったら何も見えない」 西さん自身の口癖、「やるか、やらんか」を元に命名した。 だが、その頃はコロナの感染拡大、真っ只中。 店に客はほとんど来ず、閑古鳥が鳴く日が続いた。
味には自信があった2人。 【西奈槻さん】「奥野の麻婆豆腐なら勝負できる。でも、世間に店の存在を知ってもらわなければその勝負すらできないと思いました」 ダメ元で、新聞社やテレビ局に直談判。 すると、「コロナ禍で起業した面白い若者がいる」と取り上げるテレビ局が出てきた。 メディア露出が増えたことで店の認知度は急上昇。口コミも広がり、店前には行列ができるようになった。
■近大が事業を後押し
そこにさらなる追い風が吹く。 学内ベンチャーの育成を目的に在学していた近大から、「近大のキャンパス内にラーメン店を開かないか」とオファーが舞い込んだのだ。 こうして、2021年9月、近大の東大阪キャンパスに「近大をすすらんか」をオープンさせる。 この店で、西さんたちは、1年半の出店期間でおよそ630万円の純利益を得た。
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