「子どもらしい日々」取り戻す闘い…ウクライナの子どもたちは今 侵攻から2年5か月
日テレNEWS NNN
今週は日テレ「こどもウイーク」です。子どもに関するさまざまなテーマを取材し、お伝えします。ロシアの侵攻から2年5か月となったウクライナ。多くの子どもたちが家族や学びの場を失う中で「子どもらしい日々」を取り戻すための闘いが続いています。 ◇ ウクライナ西部で行われている、とあるキャンプ。参加者の男の子が描いていたのは… 「これはパパ、これはママ、これは僕たちきょうだい」 食べ物で表現した家族4人の姿。しかし… 「パパは戦争で死んだよ」 民間団体「Gen.Camp」が主催する、親を失った子どもたちのための「心のリハビリキャンプ」です。心の傷を癒やすための21日間のプログラムが組まれ、ウクライナ各地から参加者が集まります。
今回、参加した6歳から16歳までの50人の子どもたちも、全員が戦争で親を失っています。 Gen.Campを企画 オクサナ・レベデワさん 「この子の父親はトライアスロンの素晴らしい選手でしたが、戦場で命を落としました」 大きな喪失に直面した子どもたち。今回、私たちは、リハビリが進み子どもたちの心が安定している期間に限り取材を許されました。 アンドリーさん、12歳。両親をロシア軍に殺害され、今は姉と暮らしています。2年前の侵攻開始直後、両親とおじとともに避難中、ロシア軍の車列に遭遇しました。 アンドリーさん(12) 「車で避難していたら(ロシア軍の)車両の列に出くわしたんだ。戦車は加速して車のフロントガラスに乗り上げてきた」 アンドリーさんだけは1人のロシア兵により、車から引っ張り出されたといいます。そして、その目の前で… アンドリーさん 「(ロシア軍は)車の燃料タンクを撃って火をつけたんだ」
両親の死から2か月後に現地メディアが取材したアンドリーさんの映像では… アンドリーさん(2022年5月) 「(車がつぶされた直後)パパは気づいたら死んでいた。ママはまだ生きていた」 両親とおじが命を落とした黒焦げの車を前に、淡々と話していました。 この頃の心境について聞くと… アンドリーさん 「事実だと思えなかった」 ──夢みたいな? アンドリーさん 「そう、そんな感じ」 「親の死を現実だと思えない」。個人差はあるものの、参加者の子どもによくみられる反応だといいます。 キャンプの心理学者 「(時間がたち)現実を理解した時、難しい感情に直面します。深い悲しみや怒りが入り交じり、誰とも関わりたくないと思う子もいます」