「戸建て」vs「マンション」税金面でお得なのはどっち? それぞれで払う税金を比較
住宅の購入は多くの人にとって、人生の中で最も高価な買い物となるため、慎重に検討する必要があります。特に「戸建て」と「マンション」では生活スタイルも異なり、どちらを購入するか迷う人は多いのではないでしょうか? また、戸建てとマンションでは、毎年支払い続ける税金にも大きな違いが生じます。本記事では、なぜ戸建てとマンションの税金に差が生じるのか、簡易化した計算例なども交えて解説しますので、ぜひ参考にしてください。 ▼がんの発覚で「住宅ローン」がチャラに!? その驚きの理由を解説
不動産を所有するとどんな税金を払うのか?
土地、建物などの資産を所有している人に対して課税される税金には、取得時に支払う不動産取得税などを除けば、毎年課税される固定資産税があります。資産価値に応じて課税され、税額の計算式は「固定資産税額=課税標準価額(固定資産評価額)×税率1.4%」です。 課税標準価額は、国が定めた基準をもとに、市町村(東京23区は都)が算出し、土地や建物といった不動産は3年に一度、評価額の見直しが行われます。 また、固定資産税と併せて課税されるものに都市計画税もあります。都市計画税は、所有する不動産が市街化区域内にあれば、固定資産税と同様に「都市計画税=課税標準価額(固定資産評価額)×税率0.3%」の計算式で税額を算定します。 市街化区域とはすでに市街地を形成しているか、おおむね今後10年以内に市街化される区域を意味し、都市部をはじめ多くの住宅地が該当します。
戸建てとマンションでなぜ税金に違いが出るのか
それではなぜ、戸建てとマンションで税金に差が生じるのでしょうか? 実はいくつかの要因が絡み合っています。固定資産税も都市計画税も同様の理由ですが、ここでは固定資産税を例に要因を見てみましょう。 まず1つめの要因は、固定資産税の課税標準額には、土地と建物で別々の軽減措置があるためです。土地に関しては200平方メートル以下の小規模な住宅用地は課税標準額が6分の1、200平方メートルを超えた部分も一般的な住宅用地として3分の1に軽減されます。 一方、新築の建物に関しても、戸建ては3年もしくは5年、マンションは5年もしくは7年の期間限定で、120平方メートル以下の部分は課税標準額が2分の1に軽減されます。しかし、恒久的に6分の1になる部分が多い土地に比べると期間も軽減幅も限定的です。 2つめの要因は、戸建てとマンションでは新築価格に占める土地と建物の割合に違いがあるからです。戸建ての場合、土地は1人の所有者が占有しているのに対し、マンションの場合は戸数に応じた区分所有になります。 そのため、戸建てのほうが新築価格に占める土地代金の比重が大きく、逆にマンションの場合は建物代金の比重が大きくなりがちです。つまり、1つめの要因で記したように、課税標準額の軽減効果は土地のほうが大きいことで、結果的に建物の比重が大きいマンションの課税標準額のほうが高くなってしまいます。 さらに、マンションの課税標準額が高くなるもう1つの要因として、戸建てとマンションの耐用年数の違いが挙げられます。戸建ての多くを占める住宅用木造建物の耐用年数が22年であるのに対し、鉄筋コンクリート造などのマンションの耐用年数は47年です。 土地と違い建物は、時間の経過とともに劣化し資産価値が下がるため、経年による補正で評価を減額します。しかし、耐用年数が長いマンションは、木造が多い戸建てよりも評価額の減少幅が小さくなりがちです。このような理由で戸建てとマンションでは固定資産税に差が生じやすくなります。