長崎原爆の実物大写真パネル作成 大阪の出版社「公共の場で展示したい」
長崎に投下された原爆「ファットマン」の実物大写真パネルがこのほど完成し、重い存在感を放つ。製作したのは、大阪の出版社新風書房(大阪市天王寺区)代表の福山琢磨さん。長崎原爆資料館が展示する「ファットマン」実物大模型の画像データを基に製作しており、原爆の巨大さが分かる。 【拡大写真と動画】ファットマンと似た形 模擬原爆パンプキンの爆風を受けた大阪の寺
実物大模型の画像データを基に製作
写真パネルは新風書房が事務所を構える姉妹会社、新聞印刷の会議室に展示されている。長崎原爆資料館から提供を受けた「ファットマン」実物大模型の画像データを基に製作。画像データを高倍率で拡大するとゆがみが生じやすいが、新聞印刷の技術者が課題を克服して実物大の正確な拡大を実現した。 「ファットマン」は1945年8月9日、長崎に投下された原爆。長さ3.25メートル、重さ4.7トン。ずんぐりした形から、英語で『太った男』を意味する「ファットマン」と呼ばれた。原爆の巨大さが分かる実物大写真パネルとなっている。
公共スペースで展示して市民に公開したい
福山さんは1988年から、市民の戦争体験を集めた証言集「孫たちへの証言」を刊行。今年も8月、第31集を出版したばかり。記憶違いや情報不足による手記内容の不明点を正す校閲作業を重視し、執筆者ときめ細かいやりとりを重ねる努力を続けてきた。 風化しつつある戦争の記憶を、記録として次世代へ受け継ぐ活動の一環として、原爆の実物大写真パネルの製作を企画した。写真パネルは12枚の小さなパネルで構成。分解して持ち運び、会場で組み立てて展示ができる。 福山さんは「原爆は多くの尊い命を奪い、結果的に日本を戦争終結へ導いた。実物大の写真パネルと向き合うと、改めて原爆の恐ろしさを感じ取ってもらえるのではないか。公共スペースで展示して市民に公開していきたい」と話している。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)