【G1最前線・BC編】オブライエン師悲願Vへ!シティオブトロイ参戦は「夢だった」
【デルマー(米国)29日(日本時間30日)=松田直樹】ワールドワイドな“二刀流”が見たい。世界最強ダート馬を決めるブリーダーズCには、芝G1・4勝馬シティオブトロイ(牡3、A・オブライエン)が参戦する。検疫期間明けの現地時間29日がレース当週最初の調教日。厩舎おなじみの多頭数での縦列調教で汗を流した。「BC最前線」を担当する松田直樹はエイダン・オブライエン師(55)を直撃。年内引退を表明している同馬のダート適性に迫った。 ◇ ◇ ◇ 主役のお出ましだ。29日朝、A・オブライエン厩舎所属馬による、お決まりの縦列調教がデルマー競馬場でも見られた。検疫期間を終えた10頭以上が、縦長の隊列を形成。BCクラシックに出走するシティオブトロイは首筋に白い汗を浮かばせ、ダートをゆったりとしたキャンターで駆けた。 BCクラシックには日本馬3頭を筆頭に、多くの競走馬が参戦する。シティオブトロイは昨年7月にデビュー。英ダービー、エクリプスS、英インターナショナルSのG1・3連勝を含め、同4勝を挙げる。初ダートという最大の課題を除けば、能力を疑う声は小さい。 二刀流達成を目指す戦いだ。A・オブライエン師は「BCクラシックは1度も勝てておらず、常に挑戦をしてきた」と意欲を燃やす。同師の管理馬における過去最高着順は00年ジャイアンツコーズウェイ、08年(オールウエザーコース開催)ヘンリーザナビゲーターの2着2回。同師は「シティオブトロイと臨むのが昨年からずっと夢だった」と並々ならぬ意欲で語る。 世界各地で勝ちまくる私設調教場の「バリードイル」所属馬で、父は米3冠馬ジャスティファイ。血統背景の観点から、ダート投入はデビュー当初から頭にあった。 「スピードとスタミナが必要で、これまでもそれを見せてきたけど、BCクラシックが究極のテスト。馬場も、ペースも、全てのことが彼にとって新たなこと。(前走同様に)おそらく先行する。芝とダート、両方で走ることができたら、とてもエキサイティングだ」 3歳馬ながら、年内引退を表明済み(アイルランドのクールモアスタッドで種牡馬入り)。ダート挑戦の機会は最初で最後になる。一発勝負で求められるのは結果。9月20日に英サウスウェル競馬場で行われたオールウエザー調教、そして米国移動後の雰囲気を見ても、手応えは深まる一方だ。 「馬場、ペースも違うし、全てのことが新しい。私達に希望を与えてくれるのは、彼が最高の馬であるからです。芝でもダートでも走る馬を管理するのは夢。夢はいつもかなうわけではないけど、現状にはとても満足しています」 名将をうならせる最強3歳馬。日本馬の大きな壁として立ちふさがる。