【玉田圭司×名良橋晃|元日本代表が語り合う高校サッカー】昌平で重要視するのは「ちゃんと楽しんでやれているかな?」。影響を受けた名将の指導からは“愛”を感じていた(後編)
こう話しかけたら「どう反応するんだろう?」と考えるのがすごく楽しい
名良橋 そのなかで選手個別にアドバイスしたりしますか? 玉田 はい、助言はしますよ。 名良橋 でも、選手それぞれ十人十色で性格も違うので難しくないですか? 玉田 それが楽しいんですよ。 名良橋 なぜ楽しいんですか? 玉田 いろいろな性格を見たなかで、この選手にはこう話しかけるのが良いとか、この選手にこう話しかけたら「どう反応するんだろう?」とか。そう考えるのがすごく楽しいんですよ。 名良橋 選手の反応を見るのが楽しいとは、さすがです。 玉田 でも、僕は監督就任から約半年しか経っていないので、すべてを100パーセント理解しているわけではないですよ。模索しながら、一人ひとりの性格について新しい一面を見たり、出させる作業がすごく楽しいです。 名良橋 選手の潜在能力を引き出し、良いパフォーマンスを出させる。もう、頭が下がりっぱなしです。 玉田 いえいえ。でも、一回も下がっていないじゃないですか(笑)。 名良橋 ツッコミもさすがです(笑)。では、玉田監督が理想とする指導者像はありますか? 玉田 「また見たい!」と思ってもらえるサッカー、チームを作れる監督になりたいですね。 名良橋 そう考える理由として、現役時代に指導を受けた指揮官のなかで、影響を受けた監督はいますか? 玉田 2010年に名古屋で優勝した時のストイコビッチ監督は、監督としての器みたいなものをすごく感じましたね。 名良橋 どういうところに? 僕は対戦経験こそありますけど、監督としてはどうだったんですか? 玉田 指導のモットーとして「楽しめ!」とはよく言っていましたね。当の本人は喜怒哀楽がすごくありましたけど(笑)。 名良橋 現役の時からね(笑)。 玉田 そのなかでもストイコビッチ監督には愛があると感じていました。何度も「エンジョイ!フットボール!」とよく言われてきたなかで、考え方がすごく僕に似ているなと思っていて、そのなかで優勝という結果を出せたのは、個人的にはすごく大きかったですね。逆に名良橋さんは誰ですか? 名良橋さんだったら、影響を受けた指導者、いっぱいいるでしょ。 名良橋 僕は鹿島で指導を受けたトニーニョ・セレーゾですね。いいんですよ、僕の話は(笑)。 玉田 いやいや、聞きたい、聞きたい。セレーゾ監督はどんな指導者でしたか? 名良橋 セレーゾはディフェンスに相当うるさかったんですけど、ベースとなる守備のルールを守っていれば、攻撃はある程度、自由を与えてくれる監督でした。いろいろと対立しましたけど(笑)。 玉田 え、そうなんですか? 名良橋 はい、セレーゾとは対立しました。でも、監督としては、一番やりやすかったです。ピクシー(ストイコビッチ監督)と一緒でセレーゾもワールドカップに出場した名選手で、やっぱり一番印象強い指導者でしたね。
【関連記事】
- 【玉田圭司×名良橋晃|元日本代表が語り合う高校サッカー】昌平のインハイ優勝につながった“プライドの一戦”。魂の喝は「こういうサッカーに負けるのが一番嫌いだ」(前編)
- 【玉田圭司×名良橋晃|元日本代表が語り合う高校サッカー】昌平新指揮官の志向を象徴するシステム変更。「プロに近い」リーグ戦では「対策を練るのもすごく楽しい」(中編)
- 昌平に初の日本一をもたらした玉田圭司の情熱。就任1年目の新米監督が選手たちと築いた深い絆【総体】
- 「すごく楽しい」「人間的な成長も大切」名門・昌平を率いる玉田圭司が監督就任4か月で感じた“育成年代のやりがいと価値”
- 理想はピクシーやジーコとの関係性。元日本代表の玉田圭司監督は強豪・昌平に何をもたらすのか?