スーパーミドル機「Z6III」、鉄道撮影での実力は? フラッグシップの「魂」を受け継ぐニコン新型ミラーレス
鉄道の被写体検出と高精度AFの融合! ~笑ってしまうほど驚くピント合わせの性能~
鉄道写真撮影を嗜む人にとって、Z9やZ8に搭載された「被写体検出『乗り物』」は、実際に使って驚いた方も多いでしょう。その「乗り物」を含む9種類の被写体検出機能が、Z6IIIにも惜しげもなく搭載されました。 先代であるZ6IIの被写体検出モードは、人物の顔(瞳検出)や犬、猫のみ。鉄道だけでなく乗り物系は、すべて通常のAF(オートフォーカス)システムを使用しており、AF精度に不満を持つ人がいたのも事実です。 ちなみに、Z6IIをお持ちの方で「AFがイマイチ……」と感じている方は、AFポイントは被写体の縦ラインの模様や縦方向のディテール部を狙いましょう。また、連写設定を「高速連続撮影(拡張)」に設定する場合は、絞りをF8よりも開放(F5.6やF4など)に、絞りをF8以上に絞りたい場合は、連写設定を「高速連続撮影」にしてください。理由を書くとかなり長くなってしまうので割愛しますが、これはニコンミラーレス一眼の像面位相差AFシステムを理解した上での設定であり、飛躍的にZ6IIのAF精度は上がります。これはニコンの開発の方にもうかがったAFテクニックであり、私はこの設定で通常の撮影を難なくこなしていました。 さて、話を戻しますが、はっきり言うとZ6IIIはこれら厳密な設定をしなくとも、鉄道写真撮影、特に編成写真撮影では、列車の先頭部に確実にピントを合わせてくれるようになりました。 列車の顔が撮像面内である程度大きくなると、AFポイントは別に、被写体検出の大きい白枠が出ます。2つの枠が近くなったところでAFを開始すると、大きな黄色の枠になり、列車の顔と認識。シャッターボタンや「AF-ON」ボタンを押し続けると、列車の動きに合わせて枠が動きながらピントを合わせ続けてくれます。この安心感たるや半端ないです(笑)。特に、高圧縮構図の望遠撮影では、正確な「起きピン」は難しいもの。望遠撮影では、列車の顔にピントを合わせるのが美しい編成写真撮影の成功のカギとなります。昔は「正確無比なピント合わせができればプロ」と言われた時代もありましたが、それをZ6IIIはバッチリこなしてくれるのです。 ただ、被写体検出はあくまでピント合わせをする場所をカメラが認識するための機能。それを活かすのは、やはり高速&高精度なAFが必要になりますが、Z6IIIはその点も抜かりはありません。Z9やZ8を上回る-10EVの暗さまで検出可能なAF能力を備え、露出の厳しい悪条件下の鉄道写真撮影で威力を発揮します。Z6IIIの被写体検出(乗り物)&高精度AFを目の当たりにすれば、Z9やZ8を持っている人は安心感を、Z6IIやその他Zシリーズを持っている人、そして初めてのカメラとしてZ6IIIを購入した人にとっては笑ってしまうほど驚くでしょう(笑)。それほどZ6IIIは驚愕のAFシステムを搭載しているのです。 ここで、Z6IIIのAFを活かすポイントを一つ。AFエリアモードはいくつかありますが、編成写真や動く被写体を大きく狙って撮る場合は「3D-トラッキング」がオススメです。「3D-トラッキング」は、被写体のディテールだけでなく、一度捉えた色を記憶して追い続けます。それが、より精度の高いAFを約束します。Z6IIにも「ターゲット追尾AF」という名の似たようなAFエリアモードがありますが、これは被写体のディテールのみを検出して動作するものでした。これと比べると、色までも検出対象となった「3D-トラッキング」の能力は、非常に優秀です。