歯科インプラントやっていい人ダメな人(2)「インプラントは楽」は誤解
日本口腔インプラント学会専門医・指導医で、神奈川歯科大学短期大学部の林昌二特任教授は、インプラントを希望して来院した患者でも、必ずしもインプラントを勧めるわけではないという。 歯を白くする「医療ホワイトニング」のメリットとデメリット…世代を超えて人気 「歯を失って機能を回復させる手段としては、義歯、ブリッジ、インプラントがあります。その人に合った方法を選択することが大事で、インプラントありきは良い結果を生みません。メリット以外にデメリットもしっかり説明し理解していただき、患者さん自身が決定すべき。逆に言えば『説明の段階で絶対にインプラントにすべき』と言う歯科医、メリットばかりを説明し治療の決定を急がせる歯科医には気をつけた方がいい」(林特任教授=以下同) インプラントのメリットは、あごの骨に埋め込んだ人工歯根(インプラント)を土台にしているので、その上に取り付けた人工歯が固定され、しっかりと強く噛めることだ。 「残っている歯を削ったり、義歯を安定させるための装置を付けなくていいので、残っている歯に負担をかけにくく、自分の歯を長持ちさせることにもつながります。また、見栄え良く仕上げることもできます」 一方でデメリットは、「高額」「治療期間が長い」「全身状態が良くないとうまくいかない」。 「インプラントをしたい場所に良質な骨がないとできないこともあり、骨量が足らないときは骨を増やすGBR(骨誘導再生法)といった骨造成手術が必要となります。これには新たに費用がかかります。インプラントは装着したら終わりではなく、メンテナンスが非常に重要。それができなければ、歯肉炎を起こしたり、骨が吸収されたり、インプラントに取り付けた人工歯が壊れたり、外れたりすることもあります」 2012年の海外の報告では、10年間持ったインプラントが95%あったとされている。100%ではないのだ。 「インプラントは異物なので天然の歯よりも防御機構が劣っています。『インプラントは楽』というのは誤解。年齢や認知機能によっては、取り外して管理できる入れ歯の方が合っている場合もあるのです」 インプラント後、以前より快適な生活となれば、払った金額や要した時間を惜しいと思わないだろう。デメリットを理解した上で、それでもインプラントを選ぶかどうかなのだ。