【競輪コラム】競輪祭の注目は「タイトルに近い男」
東日本地区の函館は10月30日、青森は6日、弥彦はきょう7日で今年の本場開催を終了。今年も終盤戦に入り、ビッグ(G2以上)は19~24日開催の競輪祭を経てグランプリ(12月30日、静岡)を残すのみとなった。 競輪祭は競輪発祥の地・小倉で開催される。1985年に始まったグランプリの重みが増すにつれ、競輪祭は“今年最後のG1”として注目される。競輪祭は第1回大会から例年11月後半の開催だったが、2001~08年は全日本選抜競輪が“今年最後のG1”として開催された。その後、競輪祭が定位置に戻ったのは09年11月。 グランプリ出場選手が決まる、その年最後のG1。全日本選抜、競輪祭と大会名は違うがG1タイトルの重みは同じ。01年から昨年までの23回の“その年最後のG1”の優勝者の名前を振り返ると一つの傾向がある。「タイトルに近い男」と評価されていた選手のG1初優勝が多いことだ。 全日本選抜時代では02年の村上義弘(京都=引退)、03年の佐藤慎太郎、05年の加藤慎平(岐阜=引退)など。競輪祭では19年の松浦悠士、20年の郡司浩平、21年の吉田拓矢、22年の新山響平と4年連続の初タイトルも目につく。23年間で11人が、その年最後のG1で初制覇を飾っている。 G3で優勝、G2およびG1で決勝戦に進出して見せ場をつくっている「タイトルに近い男」は多い。私が今大会で注目している一人は犬伏湧也(29=徳島・119期)。10月29日の京王閣記念決勝で古性優作、真杉匠らを破り、3度目のG3優勝。犬伏は「このメンバーで勝てたのは自信になる」と振り返り、「まだグランプリは諦めていません」と気力も充実している。 昨年はダービー、オールスター、親王牌とG1決勝に3回も進出して悔しい思いも経験した。この犬伏をはじめ「タイトルに近い男」の走りも注目される競輪祭になる。(中林 陵治)