謎の電波を発していた天体「パルサー」。宇宙精密時計ともいわれるその星の正体「中性子星」とはどんな星なのか?
太陽質量の10~30倍くらいの恒星が中性子星に!
一方、質量が太陽の10~30倍くらいまでの恒星の場合は、その中心部が圧縮されて中性子星が形成されると考えられています。 原子は、中心に正の電荷をもつ原子核があり、その周りを負の電荷をもつ電子が回っています。ところが、重力によって強力に圧縮された結果、その中心部の密度が原子核の密度くらいになると、もはや電子が原子核の周りを自由に移動できなくなります。そして、電子と陽子が反応して、中性子に変換されます。そのため、中性子星には、通常の原子は存在しません。 また、このときの反応で中性子以外に作り出されるのが、ニュートリノです。 超新星爆発からのニュートリノを検出したのが、カミオカンデとよばれる検出器です。この初検出の成果で、2002年、小柴昌俊博士(東京大学)がノーベル物理学賞を受賞しました。 さらに、小柴博士の愛弟子の梶田隆章博士は「ニュートリノには質量がない」という定説を覆す発見をしました。2015年、梶田博士もノーベル物理学賞を受賞しました。ちなみに梶田博士は、現在、我が国の重力波望遠鏡KAGRAの代表も務めています。
半径10キロに太陽質量の1~3倍をもつ星!
ところで、恒星の寿命が尽きたすべての恒星が中性子星になるわけではないと説明しました。太陽の10倍くらいまでの質量の恒星では、どうなるのでしょうか。 この場合、中心が中性子になるほどの高密度までは圧縮されません。核融合による熱エネルギーがなくても、電子どうしの反発力で自身の重力を支えることができるからです。こうした天体を白色矮星(はくしょくわいせい)とよびます。同様に、中性子どうしの反発力で支えられる重力にも上限があるため、もとの恒星の質量が太陽の30倍までの場合に、最終的に中性子星になると考えられています。 もちろん、もとの恒星の進化段階で表面からの質量放出が続くため、最終的な超新星爆発によって大部分の質量が吹き飛ばされた結果、中性子星の質量は、はじめの恒星の質量の10分の1くらいになり、その半径はおよそ10キロメートルになります。 くり返しになりますが、太陽質量の30倍以上の恒星は最終的には強力な内部重力により、ブラックホールが形成されると考えられています。